【幼児期編】「過保護」から一歩抜け出す——。子どもの自主性を伸ばす「見守り方」

「あたりまえのことをしているだけのつもりなのに、まわりから過保護だと言われた」
「公園で遊ぶ子どもたちのケンカに、つい割って入ってしまう」
宿題もつい手伝ってしまったり、子どものことを考えて友だち関係に口を出してしまったり。愛情表現のつもりだったのに、これって過保護な子育てなのだろうか?できるだけ過保護になりたくないけれど、まだまだ危なっかしくて手放せない。子どもの自主性を重視したいのに、どこまで見守ればいいのかわからない――。
そこで本記事では、幼児期に見られがちな過保護のリスクや具体例、改善方法についてご紹介します。子どもをのびのび育てたい保護者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
「過保護」とは?その背景にあるもの
近年、「ヘリコプターペアレント」という言葉を耳にする方も多いでしょう。「ヘリコプターペアレント」とは、子どもの周囲を常に旋回し、あらゆるサポートを過度に行なう親のこと。
過保護もまた、子どもが自分の力で立ち向かう機会を奪ってしまう危険がある点で、同様の問題をはらんでいます。
もちろん、子どもを守りたい・嫌な思いをさせたくないという気持ちは、親として自然な感情です。しかし、それが行き過ぎると子どもの自己肯定感やチャレンジ精神を損なうリスクが高まります。「愛情があるからこそ、頑張りすぎてしまう」というケースこそ、過保護になりやすい背景と言えるでしょう。*2
過保護がもたらす幼児期のリスク
リスク1:「自分の気持ちを伝えられない子」になる
・気に入らないことがあると泣き叫ぶ
・友だちに嫌なことをされても「やめて」と言えない
こうした姿が見られる場合、親が先回りして子どもの行動や感情を代弁しすぎているかもしれません。
小児科専門医の小枝達也氏は、「親が先回りばかりすると、子どもが『自己表現の方法』を知らないままになってしまう」と指摘しています。どんなに小さな場面でも、自分の気持ちを伝える経験を積まなければ、子どもは「言葉で伝える方法」を学べず、癇癪(かんしゃく)や無言の我慢でしか表現できない子になりかねないのです。*5
リスク2:失敗経験がないため、自己肯定感が下がる
「わが子を傷つけたくない」「苦労をさせるのはかわいそう」――こう考えるのは、ごく自然なことです。
しっかり者の親御さんほど、子どもに起こりうる失敗やトラブルを先回りして排除しがち。しかし、わずかな失敗体験がないまま育った子は、いざ壁にぶつかったとき対応できず、自己肯定感が下がる場合もあるのです。