「できない」を「できる」に変える冒険力! 小学受験のプロに聞いた、子どもの力を伸ばす親とは?

先行きが不透明で不確実な時代、子育て中の親御さんのなかには「子どもにどのような力をつけてあげればいいのか」と悩む人も多いことでしょう。小学校受験において高い合格実績をもつスイング幼児教室を運営する矢野文彦さんは、「これからの子どもたちには『冒険力』を身につけてほしい」と語ります。
構成/岩川悟取材・文/清家茂樹写真/石塚雅人(インタビューカットのみ)
そもそも、ものごとがうまくいくことなどほとんどない
これからの時代を生きていく子どもたちにとって、必要な力については多くの見方がありますが、私は「冒険力」こそがもっとも重要だと考えます。
私が言う冒険力とは、「成功するかどうかわからなくても、『まずはやってみよう』と行動して挑戦する力」を意味します。さらに、チャレンジの先にある、「困難や逆境に直面した際にしなやかに適応して回復する力」まで含めれば、いわゆる「レジリエンス」と言い換えてもいいでしょう。
なぜこの冒険力が重要かといえば、長い人生において、ものごとが思っていたとおりにうまくいくことなどほとんどないからです。みなさん自身のことを振り返ってみてもそうではありませんか?これまでの人生、すべて期待どおりに進んできているでしょうか?おそらくそうではないはずです。
そう考えると、「人生はうまくいかないものだ」ということを前提としなければなりません。
そのうえで、うまくいかなかったことに対してどのように向き合っていくのか、どう立ち上がってネクストチャレンジを続けていくのかといったマインドセットが必要なのではないでしょうか。
とくに現代は、コロナ禍のような誰も予想し得なかったことが世界中で次々に起きていますし、あるいは、以前のようにいい大学を出ていい会社に入れば一生安泰という時代でもなくなりました。先行きが見えないなかでチャレンジしなければならない場面、その結果として失敗から立ち上がらなければならない場面は、かつてよりはるかに増えているはずです。だからこそ、冒険力の重要性が増しているのです。
子どもに「好きなこと」だけをさせるのは危険
ところが、とくに「失敗に向き合う」ことについては、親子ともに慣れていない家庭が多いという印象を私はもっています。教育の専門家の考え方もいろいろで、親御さんに対して「子どもの好きなことをさせてください」とアドバイスをする人もいます。