「おうち英語」第1回 乳幼児からインプットを始めることのメリットとは?
第二言語習得を脳科学的に研究する尾島 司郎教授(横浜国立大学)は、「おうち英語」(家庭で子どもが英語に触れる環境をつくること)に取り組む親御さんや学校の英語教員向けにSNSを通じた情報発信をしています。そこで、ワールド・ファミリー バイリンガル サイエンス研究所(※以下、IBS)では、英語習得やおうち英語に関するさまざまなテーマについて尾島教授にお話を伺いました。今回は第1回目として、なぜインプットが必要なのか、そして、乳幼児期からインプットを始めることのメリットは何か、ということについて、公式サイトにて記事を公開しました。

尾島 司郎 教授
●大量のインプットがあって、かつ、そのインプットが頭の中に定着してくると、
自然とアウトプットにつながる。
●文をつくるためには、大量のインプットによって、文法知識だけではなく、
完成された文が記憶されていることも重要。
●小さいころから英語に触れる主なメリットは、インプット量を確保しやすい
時期であること。
第二言語習得がご専門で、英語習得の脳内メカニズムを解明し、その研究成果を教育に役立てることを目指しているという尾島教授。英語学習に成功している日本人の大人を対象に脳の計測を行い、そのデータから様々なことがわかってくるなかで、子どもの中にも英語の達人はいるのではないかと思っていたそうですが、見学した小学校の授業で英語を上手に話す子どもが、「おうち英語」をしていることがわかったとのこと。
言語学の教科書的には、テレビなどを通じてことばを身につけることはできないと言われていますが、現実にはDVDなどで外国語を身につけている子どもが一定数いるのではないかと思い、常識を覆されたような気持ちになったそうです。
「まずインプットから始めてその後にアウトプット」ということは多くの人が認識していると思いますが、なぜインプットが必要なのでしょうか?尾島教授に英語習得の仕組みについて詳しく伺いました。
■ インプットがアウトプットにつながるまでの仕組み
「基本的には、大量のインプットがあって、かつ、そのインプットが頭の中に定着してこないとアウトプットにつながりません。実際にインプットが定着してくると、人間は結局喋りたい生きものなので、自然と自分の中からことばが溢れ出すような感じで喋るようになります。」と尾島教授。「質の良いインプットは、インプットされたときの状況とセットになって覚えられているものなのですが、その状況が生じたときに今度は『この状況のときにはこういうふうに言っていたな』と自分の中のことばが思い出されてきます。