備え・防災アドバイザー、BCP策定アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、地震・水害・パンデミックなどの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に従事。テレビや雑誌などのメディア出演のほか、防災系Youtuber・Voicyパーソナリティとしても活躍中。著書は『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊)。 ・ YouTube「そなえるTV」 ・ voicy「死なない防災! そなえるらじお」
普段から食べているものを多めに備えておくことで、地震や台風などの非常時にも役立てるというローリングストックの重要性が高まっています。しかし、いざやるとなると 賞味期限や在庫の管理が大変で失敗した という声もちらほら。 そこで新しい食料ストック法として注目されているのが、誰でも手間なくスタートしやすい 「コンテナストック」 です。 今回は、備え・防災アドバイザーで 『今日から始める本気の食料備蓄』 (徳間書店刊)の著書の中でコンテナストックを提唱している 高荷智也 (たかに ともや)さんに、 コンテナストックの具体的なやり方 について伺いました。 教えてくれたのは… 高荷智也(たかに ともや)さん 備え・防災アドバイザー、BCP策定アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、地震・水害・パンデミックなどの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に従事。テレビや雑誌などのメディア出演のほか、防災系Youtuber・Voicyパーソナリティとしても活躍中。 著書は 『今日から始める本気の食料備蓄』 (徳間書店刊)。 HP: 「備える.JP」 YouTube「そなえるTV」 、 voicy「死なない防災! そなえるらじお」 、 Instagram @t_takani 「コンテナストック」の中にはどんな食料を入れる? 前編記事「『もしも』と『いつも』に使えて無駄にしない! 失敗しない食材備蓄の方法って?」 でも紹介したようにコンテナストックは、普段からストックしている缶詰やレトルト食品、インスタント食品やお菓子などを 種類に関係なく1箱に詰めて、それを10箱ほど作り、1か月で1箱消費していく という 「箱」単位の食料ストック方法 です。 「なかに詰める食品は、 賞味期限が大体1年以上 で、 そのまま食べられるものか、カセットコンロがあれば食べられるものであれば何でもOK 。どれだけ種類があっても大丈夫です。いろいろな食料を1箱に詰め、それを 1か月で消費 していきます。 最初の1週間ですべて空にしてしまってもいいし、徐々に食べてもいいし、とにかく 1か月かけて1箱を空にする ことだけを考えます。 そうすれば、ローリングストックのように缶詰なら缶詰で賞味期限の近いものから消費し、なくなりそうになったら補充するという “単品ごと”の在庫管理が不要 になるので、たくさん種類があっても ひとつひとつの賞味期限を気にすることなく、ラクに大量の食料を長期ストックできる んです」(高荷さん) コンテナストックの箱の大きさはどのくらい? では、箱の大きさはどのくらいのものにすればいいのでしょうか。じつは、 1箱の大きさは各家庭によって異なります 。というのも、 家の中でストック置き場がどのくらい確保できるか によって変わってくるからです。 「たとえば押入れ全部をストック置き場にできるのであれば、 そのスペースを10分割した面積が1箱の大きさ となります。逆にカラーボックスくらいしかスペースがとれないということなら、 そこを10分割して巾着袋や100円均一のケースを10個にしてもいい んです。 とにかく、 用意できるスペース=我が家のストックの上限 ということ。 大前提として最低3日分、できれば1週間分の「非常用のストック」( 前編 でご紹介した「行動食」「避難食」)は、マストでやって欲しいのですが、 【それ以上のストック「日常備蓄」がどれだけ必要か】 というのは、各ご家庭の状況により異なるので、まずは スペースから逆算 して考えると無理のない範囲で始められて、継続することができます。 高荷さんの著書『今日から始める本気の食料備蓄』(徳間書店刊) Amazonページ >> )では、コンテナストックを始め、“家族と自分が生き延びるための防災備蓄メソッド”がわかりやすく紹介されている。 非常用も兼ねた 「日常備蓄」 は、 ストック“すべき量”という考え方ではなく、ストック“できる量”で決めることが長続きのポイント になるんです」(高荷さん) 箱を用意したらまず何をするべき? スペースを確保して1箱の大きさが決まったら、 あとは入れる食料を特売日などで買って詰めるだけ。最初から10箱すべて用意しなくてもいいので、10箱揃った段階で1か月1箱消費をスタート しましょう。 「箱を用意したら最初に 優先的に赤ちゃんやアレルギーのある方、ペット、介護が必要な方などが避難所にいってももらえないもの を準備してください。食料以外には、 カセットコンロとガスボンベ も別で忘れずにストックしておきましょう。 それさえ注意すれば、あとは基本的に賞味期限が1年以上のものであれば、 なんでも好きに入れてOK です。ポイントは、特売の激安品だけで構成しないこと。たとえばパスタソースでもプレミアムなものとかありますよね。そういうちょっといいもの、テンションが上がるものを1~2品入れておくと義務感ではなく楽しく続けられますよ」(高荷さん) 一番大切なのは無理なく続けること! ストック置き場として新しくスペースを作ることができないという場合は、 キッチンを見直してみる のもひとつ。お茶漬けの素やカップスープなどをなんとなくごちゃっと入れている棚など、ありませんか? そういった場所を一度見直して、10分割してみてもいいかもしれません。 「コンテナストックは 極力手間とお金をかけず、日常のライフスタイルの中でやれる範囲ではじめてみることが大切 です。災害は明日来るかもしれないので早くはじめるに越したことはありませんが、防災対策で一番重要なのは “長距離走であること” 。1日だけ瞬間的に用意しなきゃ! と焦ってやる気を出しても、1か月後にストックがなくなっていたのでは意味がありません。死ぬまで続ける必要があるんです。 わたし自身がたくさん失敗しながらやってきましたが、防災対策は始めるのは簡単だけれど 継続するのが難しい ので、できるだけラクに手抜きでスタートしましょう。コンテナストックはやり方のひとつなので、自分にあったスタイルで続けてみてくださいね」(高荷さん) 取材・文:佐々木彩子 取材協力:合同会社ソナエルワークス
2023年01月20日いざというときのための 食料ストック 、していますか? 災害の多い日本に住んでいる限り、家族を守る備えは欠かせません 。 また、最近では急な自宅療養や在宅ワークの増加などにより、 日常の食料ストックに助けられるシーン も増えています。 そこで、 『今日から始める本気の食料備蓄』 (徳間書店刊)の著者で、備え・防災アドバイザーの 高荷智也 (たかに ともや)さんに、 非常時でも日常でも役立つ、失敗しない食料ストック法 について教えていただきました。 教えてくれたのは… 高荷智也(たかに ともや)さん 備え・防災アドバイザー、BCP策定アドバイザー。「自分と家族が死なないための防災」をテーマに、地震・水害・パンデミックなどの自然災害から、銃火器を使わないゾンビ対策まで、堅い防災を分かりやすく伝える活動に従事。テレビや雑誌などのメディア出演のほか、防災系Youtuber・Voicyパーソナリティとしても活躍中。 著書は 『今日から始める本気の食料備蓄』 (徳間書店刊)。 HP: 「備える.JP」 YouTube「そなえるTV」 、 voicy「死なない防災! そなえるらじお」 、 Instagram @t_takani そもそも「非常用の食料ストック」って必要? どのくらい準備すればよい? パスタなどの乾麺やツナ缶、レトルトカレーなど、 賞味期限が長く て 子どもも好きな食料 を普段から多めに買うようにしているという家庭は多いかもしれません。わざわざ 災害に備えた非常食をストックしておく必要 はあるのでしょうか。 「 日本は災害が多い国なので、備えはマスト 。とりわけ赤ちゃんや妊婦さん、ペットや高齢者がいるようなご家庭は、ないと困るものもあるので準備は欠かせません。さらに近年は世界的な感染症が起きたり、燃料高騰で物価の値上げが続いていたり、 非常用はもちろん日常用ストックの重要性 も高まっています」(高荷さん) 一般的に非常用の備えは 最低3日分、できれば1週間分 用意しておくのがよいとされています。というのも、災害が起きてから最初の3日間は、自衛隊などの公助は人命救助が最優先されるため、 基本的には自助(自分たちだけでなんとかする)で乗り切らなくてはなりません。 さらに最近は、 首都直下型地震や南海トラフ地震のような広範囲の災害 が起きたときは、 4日目以降も支援が届かない可能性がある といわれているので、できれば 1週間分の家族の食料をストック しておくことが推奨されています。 「ただし、これは あくまでも全世帯に向けた目安 で、具体的にどんな食料をどのくらいストックしておけばいいかというのは、 自宅がある環境によって変わってきます。まずはハザードマップを見て、我が家の場合はどうなのかを考えることが大切 です」(高荷さん) 1)まずはハザードマップで自宅をチェック 「メインとなる非常用対策」を決める ハザードマップ は、災害が起きたときに被害が想定されるエリアや避難場所が書かれているもの。住んでいる地域の自治体から配布されることが多いですが、なければ役所に聞いたり、 国土交通省が運営するWEBサイト「重ねるハザードマップ」 からも確認ができます。 「たとえば 津波がくる可能性がある場所に住んでいる方 は、 大地震の後すぐに避難 しなくてはなりません。 非常用のリュックに火や電気を使わずそのまま食べられる 「行動食」(羊羹や栄養補助食品、ゼリー飲料など)を入れたものをメインとして用意 しておきましょう。なるべく かさばらず、効率よくカロリーが摂れて子どもも食べやすいもの を選ぶのがおすすめ。重すぎると動きにくくなってしまうため、 背負って走れる分だけ 入れるようにしてください。 ▼「行動食」について 一方で 津波の心配もなく、火災や浸水も起こりにくい場所に住んでいる方 は、災害後 しばらくは自宅にとどまる可能性が高く なります。 調理不要でできれば食器を使わず常温で食べられる 「避難食」(パンの缶詰やレトルト食品、栄養補助食品や菓子類など)をメインに用意 しておくと、ゆくゆく避難所に移動しなければならなくなったときも活用できて便利です」(高荷さん) ▼「避難食」について この“メインに”というのは、 ハザードマップの危険度によってどちらに重点をおいて準備するのか ということ。危険度が低いからといって非常用リュックを用意しなくていいということではありません。 いつ何が起きるか予測できない時代に突入しているいまこそ、 とくに非常用リュックは全世帯で必ず準備 しておきましょう。 2)3日分以上の「非常用ストック」はどうする? ここまでの 「行動食」と「避難食」 は、 最低3日分 は用意しておいた方がいい 非常用としてのストック です。 それ以上のストックは、 日常のストック= 「日常備蓄」 を非常用の長期ストックと兼ねることで無理なく対策ができる 、というのが高荷さんの考えです。 日常備蓄 とは、 普段から食べているものを多めに買っておくこと 。最近では ローリングストックとほぼ同じ意味 で使われることも増えています。 ローリングストックは、日常備蓄を消費したらその分をまた買い足し、ストックを切らさないようにしておくことですが、日常のストックが非常時にも役立てられるという無駄のない防災対策で、東日本大震災以降広まっていきました。 最低3日分、 できれば1週間分 といわれていますが、 世界的な異常気象や戦争による物価の高騰 などここ数年の状況から、 長期的なローリングストックも必要 とされています。 ▼1週間分「短期備蓄」について ▼「長期備蓄」について 「ただ、ローリングストックは食べ物の種類が増えると 賞味期限や在庫管理が難しく なり、失敗した経験があるというのもよく聞きます。 種類別にわけて賞味期限がパッと見でわかるように整理収納して…というのがこまめにできる方はいいのですが、小さなお子さんがいたりして 忙しいと続けられない ですよね。そんな方におすすめなのが、 コンテナストック という方法です」 手軽にできる「コンテナストック」とは? コンテナストックは、基本的にはローリングストックと考え方は同じ。 管理の単位 が食品ごとの消費期限や在庫ではなく、 箱単位 になる点が異なります。 「じつはローリングストックには “向いている食べもの”と“向いていない食べもの” があるんです。ローリングストックに向いているのは、 お米やシリアル、水など主食として毎日食べたり飲んだりするようなもの 。 この数種類の食べものだけはローリングストックで管理し、 それ以外の缶詰や乾麺、レトルト食品やお菓子 などは、 種類や賞味期限関係なく箱にざっと詰めます。 それを 10箱ほど作り毎月1箱ずつ消費し、消費したらまた日常的に食べている食品を空いた箱に入れる というのが コンテナストック のやり方です。 こうすることで 賞味期限や在庫を細かく管理する必要がなくなります 」(高荷さん) コンテナストックの メリット は、 手間をかけずに多品種の食品を大量にストックすることができる こと。これなら忙しい方でも整理整頓が苦手な方でも気軽にスタートできます。 なぜ10箱なの? 1つの箱の大きさはどのくらい? なかに入れる食料はどんなものがおすすめ? など、 コンテナストックの具体的な方法 については、 後編記事「賞味期限の管理が苦手でも大丈夫! いざというとき食料に困らない『コンテナストック』って?」 でご紹介します。 取材・文:佐々木彩子 取材協力:合同会社ソナエルワークス
2023年01月20日