林裕太「すごく人が恋しくなりました」撮影前と撮影後の変化語る『愚か者の身分』ティーチイン試写会
主演に北村匠海、共演に綾野剛、林裕太を迎え、愛を知らずに育った3人の若者たちの青春と、闇ビジネスから抜け出す3日間を描く逃亡サスペンス『愚か者の身分』。先日の第30回釜山国際映画祭コンペティション部門に選出された本作の公開を記念し、10月9日(木)にTOHO シネマズなんばにてティーチイン付きヤングプレビュー試写会が開催、上映後に林と永田琴監督が登壇した。
釜山国際映画祭のワールドプレミア上映では熱狂的な興奮の中で迎えられ、北村・林・綾野の3人が揃って最優秀俳優賞を受賞したことも話題の本作。
この日が大阪での初上映となった本作の上映後には観客とのティーチインイベントが行われ、マモル役を演じた林と永田監督が観客からの質問に応じた。
まず、本作をふり返り、林は「この映画は“リレー”のように、バトンを繋いでいく物語だと思っています」と語り、「その最終地点にマモルがいる。梶谷(綾野剛)やタクヤ(北村匠海)が“生きることを託して繋げていく”という話です」と説明。
撮影中もそれ以外の時間も、北村や綾野と、このテーマについて何度も話し合っていたことを明かし「それが映像になって皆さんに届けられるのは本当に嬉しいです」「観終わった後に皆さんとお話しできるのがとても楽しみです」と笑顔を見せた。
さらに、釜山国際映画祭にて3人がそろって最優秀俳優賞を受賞したことについても触れ「3人一緒に受賞できたことで、役者としても作品としても評価していただけた気がしました」と喜びを語る。
そして「現地で開催された授賞式には僕しか行けなかったんですが、知らせを受けたときは剛さんと匠海さんも一緒にいて、『あとは裕太にまかせた』と言われたんです。その思いを背負って、ガクブルのまま釜山でスピーチしました」と苦笑い。後日、日本でスピーチを見ていた北村から「素敵なスピーチをありがとう」とメッセージをもらったことも明かした。
続いて観客からの質問コーナーへ。
脚本家志望の観客から「監督が日頃から作品づくりに向けて行っている日課はありますか?」と尋ねられると、永田監督は「ヨガです」と即答。撮影の体力作り目的に加えて「例えば自然。突然雨が降ったりとか、いろいろある中で、スタッフとのセッションもそうですし、いろんな事件がある」と話し「それを冷静に<こうしましょうか>と判断をするために、とても大事」と精神面での効果を述べ、「いま冗談っぽく言いましたけど、そうではなくて、本当にやっています」と語った。また、タクヤが“鯵の煮付け”を調理するシーンについての質問では、永田監督が「匠海さんはこの撮影で初めて魚のさばき方を覚えました」と明かす。
「何度も練習してもらいましたし、役柄上、見えない状態でもさばけるように練習していました。匠海さん自身も『料理はよくするけど魚はさばけなかったから、いい機会だった』と楽しんでいました」と思い返す。
そして林も「あの煮付けを一緒に食べるシーンがすごく好きです。“いっぱい食べろ”という言葉は、“生きろよ”というメッセージにも繋がっている気がします」としみじみ。
さらに、「時間がなくて1シーンしか見直せないとしたら、どこを選びますか?」という難度の高い質問には、永田監督が「トイレに行く時間を削ってでも全部観ます!いまからでも100回くらい観たい」と作品への溢れる愛を語る。
一方の林は「歌舞伎町でわちゃわちゃしているシーン」と答え、「普段の自分では絶対できないことばかりで、あの数時間だけは本当に<僕の街>になりました(笑)」とふり返った。
そして本作のキャッチコピー「生まれ変わるんだ。」にちなみ、「撮影前と撮影後で何か変わったことはありましたか?」という質問に、林は「すごく人が恋しくなりました」と回答。
「この現場では本当に多くの人に支えられました。
監督や匠海くん、剛さんだけでなく、スタッフの方々も僕に居場所をくれて、そのことがマモルという役にも繋がったと思います。撮影後は“誰かに何かしてあげたい”と思えるようになりました」と感謝を述べ、それを受けた永田監督が、キャストへの演技指導について「セリフが終わってもすぐにはカットをかけなかった」と明かす場面も。
「セリフが終わっても、その後2人がどんな会話をするのか、放っておいたらどうなるのか、そういう“余白”を大事にしていました。カットがかかるまでの時間も役の延長として過ごしてもらえるよう、少しずつ時間をかけて撮っていました」と語るなど、作品づくりへの丁寧な姿勢をのぞかせていた。
『愚か者の身分』は10月24日(金)より全国にて公開。
(シネマカフェ編集部)
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愚か者の身分 2025年10月24日より公開
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