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65館以上で上映決定『小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版』子育てしながら山小屋経営に奮闘する“小屋番”が登壇

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65館以上で上映決定『小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版』子育てしながら山小屋経営に奮闘する“小屋番”が登壇


1月9日(金)から全国公開が始まり、65館以上での上映が決定、動員1.6万人、興行収入は2,000万円を越える大ヒットスタートを切ったドキュメンタリー『小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版』。その大ヒットを記念したトークイベントが満席のアップリンク吉祥寺にて行われた。

2025年3月に開催された「TBSドキュメンタリー映画祭2025」で上映され、舞台挨拶回が即完になったほか満員での上映を迎えるなど、6都市各地で大きな注目を集めた映画『小屋番 KOYABAN~八ヶ岳に生きる~』。

その後、追加撮影や再編集を重ね、四季折々の荘厳な自然を捉えた新たな映像やインタビューが加わった『小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版』が完成した。

「山を題材にすることで社会の問題も見えてくる」


この日、まずは永山由紀子プロデューサーが、深澤慎也監督から山小屋支援の動画を見せてもらったことを機に始まった本作の制作を振り返る。

「映像がとても綺麗で、小屋番さんたちの言葉が人生の芯をついていて素晴らしかったんです。ちょうど社内で企画募集の話があったので、小屋番さんたちの日常を追うことで作品になるのでは?と作り始めました。2024年から1年かけ、『コヤガタケと言われるほど八ヶ岳には山小屋が多い』と教えてくださった山岳写真家の菊池哲男さんが山小屋を巡っていくという形で構成をしていきました」といい、「山を題材にすることで社会の問題も見えてくる」と、八ヶ岳という場所を選び制作を進めた狙いを話した。


11年前に先代の父から夫婦で蓼科山頂ヒュッテの経営を行ったという米川佐和子氏は、本作への出演オファーに関して「山小屋、とくに小屋番を映画で取り上げていただけることがまずとても嬉しかったです」と思い返すが、最初は出演への迷いがあったという。

「わたしは普段東京で暮らしながら、兼業という形で経営をしているんです。なので、そんな今の状況をお伝えして監督と永山さんにご判断を委ねました。結果的に、山小屋から離れている時間があるからこそ、山小屋、そして人とのつながりの大切さを考え続けている自分もいることに気がつけたので、これもひとつの関わり方なのかなと思っています」と、制作に参加することで発見があったと語る。
子育てもしながら運営をするにあたって、いまもなお試行錯誤を繰り返しながら経営を行っている米川氏は「両立するには距離的な問題もありますし、子どもが生まれる前は山小屋に行ける限り行っていましたが、生まれてからは山小屋をどう続けていけるかに重きを置いて、常勤スタッフに加えてピンチの時に単発で来てくださる方が10名ほどいらっしゃいます。スタッフ以外にもたくさんの仲間に支えられて続けられています」と感慨深げに語る。

「30キロぐらいは背負って登ったり、気合いを試されます」


永山プロデューサーから、「山小屋を継ぐというのはなかなかできない決断ですが、どのような思いで?」と質問が投げかけられると、「もともと私は別の仕事を目指していて、東京で働きながら夜間学校に通ってその勉強をしていたんです。ある時、父が引退するという話を受けて『どうしよう……』と本格的に悩みました。
継いで欲しいと言われたわけではないのですが、小さい頃から思い出のある大切な場所だったので、夫に相談したら前向きに考えてくれて。山小屋の規模のことなども踏まえて現実的な兼業という形で、夫に背中を押されて決めました」と、覚悟を決めて山小屋経営に乗り出した経緯を明かした。

アウトドアが好きなものの山登りもほとんどしたことがなかったという米川氏の夫は、当初、蓼科山頂ヒュッテのことを「山の麓にあるペンション」だと想像していたという。米川が「初めて蓼科山に登ったのが、天気もあまり良くないなか、自分で食料を背負って運ぶ”歩荷”という作業で。頂上に着いた時はゲッソリしていました」と笑い混じりに話し、会場の笑いを誘った。

本編にも登場する印象的なシーンとして、月に1回行われるヘリコプターでの物資移動がある。ヘリコプターが飛ぶかどうかは天候次第で、それに頭を悩ませるスタッフの姿も。

米川も「大変な仕事というとやっぱり荷上げですね。
わたしも30キロぐらいは背負って登ったり、気合いを試されます」と話す。永山プロデューサーも、カラになったプロパンガスを担いで山を降りていく女性の小屋番と出会ったエピソードを挙げ「ゴミを担いで下山されたり、みなさんのご苦労があって、私たちが大好きな山に行けるんだなと思っています」と改めて小屋番という仕事の大変さを登山者の視点から指摘した。

そしてイベント最後には、米川氏は「この映画では、八ヶ岳の壮大な自然を大きなスクリーンで感じていただけるということと、過酷な環境下でも小屋番がどのような情熱を持っているのかが丁寧に描かれています」と話し、「山小屋って日常から少し離れた場所にあるからこそ、大自然を前にして自分が素直になれたり、不思議と知らない人とでも繋がれたり、力があると思っています。映画をご覧いただいて、山の世界の空気を少しでも感じていただけたら嬉しい」とコメント。

永山プロデューサーは、「現代社会は忙しく情報が溢れていて、みなさん疲れていらっしゃるんじゃないかなと思っています。山の上は電波が悪かったりして、情報を取ろうにも取れない環境になるんです。スマホで何もできなくて、ただお昼寝をしたり本をめくってみたり、景色をみたり、何もしない時間があってもいいんだなと癒しを受ける瞬間があります。そんなことを、山にいらっしゃらなくても感じていただけるようにメッセージを込めました。
感じとっていただけたら幸いです」と、それぞれ映画の魅力をアピールし、イベントは幕を閉じた。

“コヤガタケ”と呼ばれるほど沢山の山小屋が存在する八ヶ岳。さまざまな想いを抱えながら「小屋を営むもの=小屋番」という道を選んだ人々。コンビニも車もない、自然と真正面から向き合う過酷な日常を選んだ理由とは?

「最後の逃げ場が山しかない」「お客さんや仲間が遭難し、亡くなられるケースを防ぎたい」「ちょっと立ち止まって自分を振り返る」……“山”を、“命”を知る者たちの言葉が紡がれていく。

登山を楽しむ人々を支え、時には死とも遭遇する小屋番という仕事。山小屋の生活は不便さを感じさせる一方で、忙しなく行き交う情報社会に疲れ、何もかもが身近に手にできてしまう現代人に対して「暮らしそのものの在り方」さらには「人生の在り方」への新たな視点をそっと提示する。

『小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版』は全国にて上映中。

(シネマカフェ編集部)

■関連作品:
小屋番 八ヶ岳に生きる 劇場版 2026年1月9日よりヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国にて公開
©︎TBS

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