【シネマ羅針盤】“大切なこと”すべてが詰まった200点満点の傑作『パディントン2』
紳士なクマのパディントンが、新たな故郷ロンドンで冒険を繰り広げるシリーズ最新作『パディントン2』が公開中だ。前作の大きな魅力だった心温まる物語に加え、謎解きのスリルや、トム・クルーズも顔負けのアクション要素がパワーアップした200点満点の傑作である。
■『パディントン2』ってどんな映画?
前作でペルーのジャングルから、イギリスのロンドンにやって来た小さなクマのパディントンは、親切なブラウン家族の一員として幸せに暮らしていた。そんな彼が、故郷で暮らすルーシーおばさんの100歳の誕生日を祝おうと、貴重な“飛び出す絵本”を買うためのアルバイトを始める。しかし、絵本が何者かに盗まれてしまい、犯人に間違われたパディントンは刑務所に…。実は絵本には、古くから言い伝えられる宝のありかが記されていたのだ。
パディントンの魅力は、何事にも真摯に向き合い、どんな相手に対しても礼儀とオープンな心、そして寛容の精神を示す姿にある。たとえ失敗しても、「イエス!」の気持ちを忘れず、人生の可能性を広げる“彼”の成長と冒険が、予想もつかないハッピーやギフトをもたらす物語には、現代人が忘れかけた“大切なこと”すべてが詰まっているのだ。
■「社会で生きる」ことを考えさせるテーマ性
最新作でパディントンが直面するのは、「社会で生きる」という問題。そこから社会の多様性に触れながら、「自分の価値」を見つけ出すまでの物語がカラフルに描かれる。具体的には、ルーシーおばさんのために、骨とう品店でアルバイトを始めることで、家族の枠から一歩踏み出し、コミュニティにおける居場所を獲得していく。パディントンに、濡れ衣を着せる落ちぶれ俳優ブキャナン(ヒュー・グラントが最高の演技を披露する)は、パディントンとは正反対に、自分のことしか考えない悪人であり、社会の理不尽を体現する存在だ。
■パディントンとハリー・ポッターの共通点とは?
本シリーズのプロデューサーを務めるのは、『ハリー・ポッター』全8作をはじめ、『ゼロ・グラビティ』『光をくれた人』などを世に放ったヒットメイカー、デヴィッド・ハイマン。『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004年)のメガホンを、アルフォンソ・キュアロンという当時として意外な人物に託し、大成功を収めるなど“誰も気づいていないその人の魅力”を察知する才能は、パディントンに似ているかもしれない。
「新しい才能と組むことで生まれる、クリエイティブな“循環作用”に期待している。大切なのは向き不向きじゃなくて、映画作りへの情熱だからね。
それとシリーズ映画を作るときには、それ1作だけでも楽しめる自立した作品を目指しているよ。もちろん、原作の精神を忠実に捉えることも必要だ。パディントンもハリー・ポッターも、ある意味“アウトサイダー”なんだ。彼らの居場所や仲間は、自分で見つけ出したものだからね。その過程で“善”の心の大切さを描けたらと思っているんだ」。
(text:Ryo Uchida)
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