アーサーが悪のカリスマになるまで…『ジョーカー』のテーマは“思いやりの欠如”
コメディアンを夢見るひとりの男が、映画史上最凶の悪役といわれる“ジョーカー”になるまでを描くサスペンス・エンターテイメント『ジョーカー』。劇場型の犯罪で人を恐怖に陥れる“悪のカリスマ”を描く本作に込められたメッセージについて、主演のホアキン・フェニックスや監督のトッド・フィリップスが明かした。
まず、フィリップス監督は「この映画の大きなテーマのひとつは、思いやりの欠如だ」と断言する。解禁済みの予告編に登場する、バスの中で少年を笑わせようとおどけたアーサーが、少年の母親に冷たくあしらわれる切ないシーンについて、監督は「母親が『息子を笑わせてくれてありがとう』と言っていたら、アーサーはものすごく喜んで、踊りながら家に帰っただろうね。アーサーは世の中の苦労を背負っているんだよ」と語り、世間の心ない行為の積み重なりが次第にアーサーを傷つけ、心をむしばんでいくと明かした。
フィリップス監督と共に脚本を手がけたスコット・シルバーも、“思いやりの欠如”について「アーサーはもともと人を笑わせ、笑顔にすることだけを考えていたから、ピエロになってコメディアンを目指すんだ。ところが街の空気や環境がアーサーをむしばんでいく。思いやりや共感に欠け、治安が悪化した社会から生まれるのがジョーカーなんだよ」と語る。
さらに、ホアキン・フェニックスは「例えば、誰かが道で殴られているのを見たら、その痛みや辛さを想像することができるよね。同じように、映画を観る人が、アーサーに共感してくれたら良いなと思うんだ。感情移入というのは人間の普遍的なことだからね」と語り、アーサーというキャラクターは、観客が思わず共感してしまうような一面も持っていることを明かす。
そしてフィリップス監督もまた、「この映画が人々の心に響いて、世界に少しでも温もりが増えるといいなと思うよ」と言う。圧倒的な悪を描く映画でありながら、思いやりや共感する心を持ってほしいという優しくて温かいメッセージが本作には込められている、というのだ。
本作は、第76回ヴェネツィア国際映画祭で8分間のスタンディング・オベーションが巻き起こり、最高賞の金獅子賞を受賞。世界三大映画祭でアメコミ作品が最高賞を受賞するのは初の快挙となり、映画史を大きく塗り替える受賞となった。すでにアカデミー賞最有力といわれている本作の、“衝撃”とその裏にあるメッセージを、劇場で確かめてみてほしい。
『ジョーカー』は全国にて公開中。
(text:cinemacafe.net)
■関連作品:
ジョーカー 2019年10月4日より全国にて公開
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