キングギドラ、モスラをつくった怪獣造形師・村瀬継蔵が胸にとどめる円谷英二の金言
アニメーション映画と並んで、日本が世界に誇る映画ジャンルである怪獣映画。時に恐ろしく、時にユーモラスでかわいらしい、個性豊かな怪獣たちが映画の歴史を彩ってきた。
デザイナーによってデザインされた怪獣を、様々な素材を用いて、アイディアと知識を駆使し、監督の望む質感で実際に具現化するスタッフが特殊美術造形――特に怪獣映画において“怪獣造形師”と呼ばれる職人である。そんな怪獣造形師の第一人者であり、『ゴジラ』シリーズにおけるモスラやキングギドラの造形など、数々の怪獣映画、特撮映画に携わってきた村瀬継蔵。今年の秋で89歳を迎える彼が、初めて“総監督”という立場でつくり上げた映画『カミノフデ ~怪獣たちのいる島~』が公開中だ。
半世紀近く前に香港映画『北京原人の逆襲』(1977年)に参加した際に、プロデューサーから依頼されて書き上げたというプロットをベースに、自らの経験や新たな要素も加えて再構築したという。本作への思いを語ってもらうと共に、怪獣造形師としての村瀬さんのこれまでの歩みについて話を聞いた。
「最初は怖いという気持ちしかなかった」
――村瀬さんが特殊美術造形、怪獣造形の世界に足を踏み入れることになったきっかけ、経緯を教えてください。