2015年1月23日 10:32
ファルコン9を迎え撃て! - 欧州の次世代ロケット「アリアン6」 (1) アリアドネーの糸が導いたフランスのロケット開発
欧州の主力ロケット「アリアン5」は、世界各国の商業衛星を数多く打ち上げ、現在世界で最も成功している商業ロケットである。しかし、米スペースX社のファルコン9ロケットの台頭や、2020年以降に世界各国で新型ロケットが続々と登場することなどから、その地位が脅かされつつある。
その挑戦に立ち向かうべく、欧州は2014年12月、アリアン5の後継機となる、新型の「アリアン6」ロケットの開発を決定した。
今回は、商業ロケットの雄とも呼ばれるアリアン・ロケットの歴史から、アリアン6ロケットの概要、その開発を巡る経緯と現状、そして将来について、全4回に分けて紹介したい。
○商業ロケットの雄アリアン
宇宙開発と聞いて、多くの人が真っ先に思い浮かべるのは、米航空宇宙局(NASA)の存在だろう。探査機で太陽系の星々を探索したり、スペースシャトルを飛ばしたり、そして人間を月へ送り込んだのもNASAだ。では、私たちが普段利用している通信衛星や放送衛星を打ち上げているのもNASAなのかといえば、実はそうではない。
米国にNASA、日本にJAXAがあるように、欧州には欧州各国が共同で設立した欧州宇宙機関、通称ESAがある。