2015年5月28日 12:00
キャリアななめ斬り! (60) 「顧客のために」「顧客ニーズ」という幻想
私がメーカーのサポート部門で勤務していた頃の話。
その職種に就くまでは、あまり一人ひとりの「顧客」に接する機会は少なかったため、自分自身がまずは「顧客目線」に変わらなくてはと思った。その心がけ自体は決して悪くはなかった。
そして、いま思うとこっ恥ずかしくなるくらい「顧客目線で……」「顧客志向の……」という言葉を連発していた。
○顧客の声を代弁していただけだった?
何でこんなクレームがおこるの? 何ですぐに解決できないのか?
「顧客のために」「顧客ニーズ」が何よりも大切に決まっているじゃないか!?
「お客様のご意見」至上主義だったことがある。
ところが……
ほんの数カ月もナマの顧客の声に触れ続けると顧客ニーズといってもいろいろあることがわかる。一つ一つの声が必ずしも顧客全体の声とも限らない。ごく一部の「大きな声」(目立つ顧客)だけが伝わってくることもある。
そして、「顧客の声が一番大事」だと言い放っていた自分のことを、
単に「顧客に喜んで欲しい」という自己満足に過ぎないのではないか?
自分自身が「顧客の声」を代弁することで、社内外に対して「承認してほしい」という欲求なのではないか? 「顧客の声が大事」