日本では1990年代以降、バブル崩壊やデフレなどを背景に、生活実感に近いとされる名目GDPがほぼ横ばいで推移しています。しかし、そうした厳しい環境下でも、全体的に見ると、企業の「稼ぐ力」が発揮されており、東証一部上場企業(除く金融)の経常利益は2015年3月期に7年ぶりに過去最高を更新したのに続き、向こう2年も増益が見込まれます。
こうした企業の「稼ぐ力」に注目した安倍政権は、企業資金の有効活用などを通じて経済の好循環を実現すべく、アベノミクスの第3の矢に企業統治改革を掲げ、2014年には機関投資家に投資先企業の経営監視の強化を促す「スチュワードシップ・コード」を、15年6月には企業経営に株主など外部の視点を取り入れることを求める「コーポレートガバナンス・コード」を相次いで導入しました。そして、これらをきっかけに投資家と企業の間に緊張感が生まれ、成長のための投資や、株主優遇に向けた自社株買い・配当などの拡大を通じて、企業のROE(自己資本利益率)が向上するなど、投資家にもたらされるリターンが増大すると見込まれています。
こうした中、6月2日に国内日刊紙が「ガバナンス相場」の号砲が鳴ったとの記事を掲載したほか、米経済紙は「安倍首相が覆す『日本株式会社』」