2015年6月10日 14:00
NASAの空飛ぶ円盤「LDSD」、2回目の飛行試験を実施 (1) 将来の火星探査への適用を目指して
米航空宇宙局(NASA)は米国時間2015年6月8日、将来の火星探査機の着陸技術の試験機「LDSD」の、2回目となる飛行試験を実施した。
これまでより大型の探査機を火星に着陸させるには、今までよりも大型のパラシュートや、まったく新しい減速装置が必要となる。LDSDはそうした技術の実証試験を行うために開発された。
LDSDは約1年前の2014年6月28日に初の試験を行ったが、パラシュートの展開に失敗し、完璧とはいえない結果に終わっていた。今回はその雪辱戦となったが、今回もパラシュートの展開に失敗し、残念な結果となってしまった。
今回はLDSDの概要から今回の試験の顛末を、2回に分けて見ていきたい。
○低密度超音速減速装置
LDSDはLow Density Supersonic Deceleratorの頭文字から取られている。直訳すると「低密度超音速減速装置」、少し意訳すると「低密度の大気の中で、超音速のスピードから機体を減速させる装置」とでもなろうか。
この低密度の大気というのは、火星の大気のことを指している。火星の大気は地球のそれと比べるととても希薄で約1/100程度、火星地表の気圧は地球の高度30km付近の成層圏の気圧と同じぐらいしかない。