2015年6月16日 12:00
兼業まんがクリエイター・カレー沢薫の日常と退廃 (15) カレー沢薫というペンネームを生んだ「病」
「カレーが好きなんですか?」
カレー沢、などという4歳児が3秒で考えたかのようなペンネームで仕事をしているため、よくされる質問だ。そう聞いてくる相手に対し、私は常に「そうでもないです」と答え、せっかく振ってくれた話題を一瞬で終了させるという名人芸を見せつけていた。
カレーはおいしいと思うが、「無人島に何かひとつもって行けるとしたら何を持っていくか」と聞かれて「カレー」と答えるほどではない(それに、いくら好きでもカレーと答えるやつは少し冷静になった方がいい)。
それならなぜ「カレー沢」などと名乗っているかというと、私が「中二病」とは逆の、「中二病と言われるのを恐れるあまり病」だからである。はっきり言って、これは中二病より性質が悪い。中二病は方向が斜め上でも何かに向かって全力で突き進んでいるが、後者は人に笑われるのを恐れるあまり、何もしないか、中二病の人間を笑うのにパワーを使ってしまっているのである。つまり、カッコいい凝った名前をつけたら中二病と言われてしまうから、格好はつけずに行こうと思ったのだ。その結果が「カレー沢」である。
どう考えても「格好をつけない=ダサい」と勘違いしているネーミングなのだが、照れ隠しのつもりが余計恥ずかしいことになってしまった。