2015年10月16日 10:30
だから熊野古道に外国人が押し寄せる! 巡礼の先にセレブも愛す"天空の宿"も
●熊野古道が地方創生政策の先行事例で滞在型外国人の集客に成功するまで
訪日観光は2015年1~8月まで1,287万人と絶好調だが、一言で訪日観光といっても観光ニーズや旅行内容は国や地域によりかなり異なる。欧米豪のFIT(個人の訪日外国人旅行)客の日本での滞在日数は平均して2週間以上、団体旅行やパッケージツアーの利用は少なく、9割近くが個人手配の旅だ。そんな欧米豪のFIT客にターゲットを絞り、成功を収めているのが和歌山県田辺市である。
○世界遺産の道の周辺には様々な温泉も
田辺市には歴史ある「湯の峰温泉」や「龍神温泉」、川底を掘れば温泉が出る「川湯温泉」、西日本最大級の露天風呂を誇る「渡瀬温泉」など8つの温泉がある。また、2004年世界文化遺産登録された「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産のひとつ、熊野古道の中辺路(紀伊田辺から熊野本宮大社までの約60km)が通っている。
中でも滝尻王子から熊野本宮大社の約38kmは人気が高い。コースは初心者や外国人でもひとりで安心して歩けるよう、整備や地域観光のサポートシステムが確立されている。
○ターゲットは滞在型の欧米豪個人旅行者
田辺市は世界遺産登録の翌年である2005年、5市町村が合併して観光振興の方針を大きく転換した。