東大とニコン、非侵襲で細胞の酸素代謝を計測できるシート型センサを開発
同成果は同大大学院工学系研究科の一木隆範 准教授らとニコンの共同研究グループによるもので、12月1日に米科学誌「PLOS ONE」に掲載された。
iPS細胞などの細胞技術を産業化するには、研究に使う細胞を同じ品質で供給する方法や、細胞の状態を傷つけない「非侵襲・非破壊」で評価する技術が必要となる。細胞の品質を評価する指標の1つとして、細胞の呼吸による酸素消費量があるが、現在市販されている酸素センサでは、培養液中の酸素濃度を計ることはできても、個々の細胞の酸素消費量を計測することはできない。また、従来の方法では、細胞1つあたりの代謝活性を測定するには、細胞を培養シャーレから剥がして専用の装置の中に細胞を移す必要があり、細胞を傷つけてしまうという課題があった。
同研究グループが開発したシート型センサは柔らかな透明ポリマーシートの表面に、マイクロチャンバーと呼ばれる直径90μmの小さなへこみが多数形成されており、その中に酸素濃度によって発光応答が変わるリン光発光性金属錯体のセンサを備えている。研究では、同シートを培養細胞や生体組織に載せ、自動光学計測システムと組み合わせて使うことで1分間に100カ所の自動計測を行い、がん細胞や脳組織中の神経細胞の酸素代謝を計測することに成功した。
同センサは個々の細胞や細胞コロニー単位で代謝活性を計れるため、薬効の評価や治療に使用する細胞の品質管理に役立つと考えられているほか、これまで不可能だった生体組織の細かい部位ごとに挙動の変化を調べることができるため、医薬品の開発における新しいスクリーニングに道を拓く可能性があると考えられている。
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