愛あるセレクトをしたいママのみかた

『僕のヤバイ妻』豊福陽子プロデューサーに聞く"ヤバイ"裏話【後編】- 昨今の人間関係に問題提起「トコトンぶつかり合う夫婦を描きたかった」

マイナビニュース
『僕のヤバイ妻』豊福陽子プロデューサーに聞く"ヤバイ"裏話【後編】- 昨今の人間関係に問題提起「トコトンぶつかり合う夫婦を描きたかった」

●高満足度評価に「うれしいでーす!!!」
俳優の伊藤英明演じる夫への仕返しのために、女優の木村佳乃演じる妻が次々に繰り出していく壮絶な復讐(ふくしゅう)が話題の心理サスペンスドラマ『僕のヤバイ妻』(関西テレビ・フジテレビ系 毎週火曜22:00~22:54)。この復讐劇を裏で仕掛ける関西テレビの豊福陽子プロデューサーは、今回の作品に込めた思いも語ってくれた――。

――今回のドラマでは、幸平(伊藤)と真理亜(木村)の「騙し合う夫婦」、宮迫博之さんと遊井亮子さんが演じる「離婚した夫婦」、高橋一生さんとキムラ緑子さんが演じる隣人の「レンタル夫とのニセモノ夫婦」と、さまざまな夫婦が登場しますね。この夫婦のいろんな形を描いていくというのも、テーマに据えているのですか?

私は結婚していないんですが、そもそもこの話をやりたいと思ったきっかけは、芸能ニュースなどを見ていて、離婚というものに対して、周りの抵抗とか、どう受け止められるかということよりも、無理をしないで嫌ならやめれば良いというような、夫婦が簡単に離婚できる風潮が主流になってきたなと思っていたことなんです。夫婦に限らず、友達との間でも、SNSですぐ友達になって、嫌だったら削除すればいいっていう、なんだか簡単にオン・オフができてしまう時代になったなというのを思っていた時に、一方で、人間関係を持続するための努力が、全く謳(うた)われなくなったなと思っていて。

でも、もしかしたら、そうしてカットオフする前に、どうして関係がおかしくなってしまったのか、どうして相手が理解できないことをするのかという疑問をぶつけてみることで、今までよりも深く関係を結ぶことができ、見えてくるものがあるかもしれないんじゃないかなと。だったら、1回トコトンぶつかり合う夫婦を描いてみたいと思ったんです。

――確かに世の中で「つながる」ということが再三言われる一方で、実際にとっている行動は相反しているかもしれませんね。


なので、この幸平と真理亜の夫婦が、最終的にどういう結末になるのかは分かりませんけど、これだけやり合ったり、ぶつかり合ったりするのを見てくれた方が、どうしてここまでやるんだろう?と思いながらも、夫婦って面白いなと、少しでも思ってもらえればいいなと思っています。望月夫婦、元夫婦、隣人のレンタル夫婦っていう、さまざまな夫婦の形がなんとなく散りばめられているのは、それをメインテーマにドンと据えるのではなくて、どこか心のなかに残るものがあるくらいになると良いなと思って、配置しています。

――視聴者の満足度調査(データニュース社「テレビウォッチャー」調べ)で、第4話が今クールのドラマで最高値を記録しましたね。

みんなめっちゃ喜んでくれました! やっぱりキャストさんもスタッフも、そういう指標があると励みになりますから、なによりうれしいです。

――しかも、回を追うごとに右肩上がりで推移しています。

「うれしいでーす!!!」って叫びたいくらいです(笑)。本当に自分たちが信じて面白いとおもってやってきたものが、視聴者の方も面白いと受け取ってくださっている。こんなにうれしいことはないです。
よりたくさんの方に見てほしいというのもありますけど、まずは見てくださった方が、「今日も面白かったな」「今日もやられたな」と思ってくださるようなドラマを、最終回まで突っ走って行きたいと思います。

――満足度が上がっているというのは、まさにそういうことですよね。今後も「こう来たか!」と驚かされる展開を期待していいですか?

ハードル上がっちゃいますね(笑) でも頑張ります!

――この調査での自由記述の感想を見ていると、高橋さんとキムラさんの鯨井夫婦の存在が気になっている視聴者が多いようです。

あの2人が演じるからには、何も起きないわけがないですからね(笑)

●真理亜のシナリオが計算外の事態に

――裏にはTBS系で『重版出来!』が放送されています。やはり意識されていますか?

意識というか、結果的に「火曜10時はなんか面白いドラマやってるよね」と、見ている方が印象を持ってくださるのが一番いいなと思っています。もちろん、こちらをオンタイムで見てほしい気持ちはありますけど、「なんか面白いドラマやってるよね、あそこね」っていう印象を持ってもらえれば、すごくうれしいなと思います。

――豊福さんはこれまで『アンフェア』や『美しい隣人』など、サスペンス作品のプロデュースが多い印象があります。

そうですね。
サスペンスが好きなんですよね、私(笑)

――サスペンスの魅力とは?

謎があるのが好きなんですよね。分からないものが分かる、気づかなかったことに気づくという快感がすごくあるじゃないですか。何があってそれがそうなったのかという背景に、すごく人間らしい感情が出てくるというのが、すごい好きですね。

――『素敵な選TAXI』もプロデュースされていますが、サスペンスではない作品も、その面白さは通じる部分がありますね。

そうですね。自分にとって、分からなものが分かるというのは、とっても爽快な感情なんです。

――いろいろお話を伺わせていただき、ありがとうございました。今後の見どころを教えてください。


第7話(31日放送)は、サブタイトルが「殺しの晩餐会」というんですが、望月夫婦が離婚について話し合いをするため、夫婦最後の食事をします。そこで、真理亜は幸平の不倫相手の杏南(相武紗季)と結託して幸平を殺そうとし、一方の幸平は杏南と結託して真理亜を殺そうとします。「杏南どっち!?」みたいなことがありながらも、また壮絶な心理戦で、思いもよらない展開になります。

――台本を読ませていただきましたが、本人たちは至って真剣なシーンのはずなのに、どこか滑稽な部分があって、思わず笑ってしまいました(笑)

渦中の人間はごくごくまじめにやっているんですが、見ている方は「真剣にこんなことやりあってる!」と面白くなるんですよね。

――前クールの月9『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』でも、主要人物たちが修羅場になる"地獄の芋煮会"のシーンが話題になりました。

あのシーンは面白かったですよね。それに匹敵するというか、だいぶ種類が違うけどインパクト大のシーンになると思います(笑)

その先も例によって二転三転のどんでん返しが待っております。緒方(眞島秀和)殺しの真相も明らかになりますし、真理亜の描いていたシナリオが全く予期せぬことで計算外の事態に陥るという展開になります。
そこには横路(宮迫博之)であり相馬(佐藤隆太)であり、鯨井夫婦(高橋一生・キムラ緑子)であり、いろんな人間が自分の思惑で動いたゆえに起こる事態なんですが、そんな中で最終的に幸平と真理亜という、ここまで騙しあってぶつかり合って、殺し合いまでしようとしていた夫婦が、最終的にどういう結末をたどるのか。どういう結論を自分たちが出すのかを見届けてもらえたらと思います。最後まで「そうきたか!」っていうどんでん返しがあると思いますので。■プロフィール
豊福陽子(とよふく・ようこ)
1994年関西テレビ放送入社、制作部に所属。バラエティ、情報番組を制作したのち、東京支社の制作部に異動。同局が制作する火曜22時の連続ドラマ『がんばっていきまっしょい』ではアシスタントプロデューサーを務め、『明日の喜多善男~世界一不幸な男の、奇跡の11日間~』で連続ドラマプロデューサーデビュー。『チーム・バチスタ』シリーズ、『美しい隣人』、『素敵な選TAXI』、映画『アンフェアthe answer』、『アンフェアthe end』などのヒット作に携わる。

提供元の記事

提供:

マイナビニュース

この記事のキーワード