『ローマ法王の休日』ナンニ・モレッティ監督インタビュー
そして、法王がバチカンから逃げだして街中を歩いていると、彼は長い間忘れていた様々なことを経験します。ローマを放浪している法王の姿は、彼自身と観客の両方に質問を問いかけてきます。そして、その一方、精神分析家のほうはバチカンの囚人となり、当初は混乱していたものの、最終的には安らぎを見出すのです。
●最近、あなたに対して起きている中傷に関してはどう思いますか?作品そのものに対する中傷はありませんでした。ただ、カソリックの教えを反映していない一部の人々から中傷されただけです。
●近年、カソリック教会では様々なスキャンダルが起こり、それに対して階級組織としての姿勢が批判されてきました。なぜ本作ではそういった物議を描かなかったのでしょうか?私はすでに人々に知られていることをわざわざ映画を通して描きたいとは思いません。時事ネタを扱って、観衆にベールに包まれたメッセージを送りたいとも思わない。
カソリック教会を取り巻くスキャンダルについては(例えば小児性愛や財政問題など)、それを取り上げている本やドキュメンタリー、新聞記事がすでにたくさんある。私は時事に影響されないように距離を置いています。本作はフィクションです。この作品は私の視点から見るバチカンであり、コンクラーベであり、枢機卿の姿です。