オダギリジョーから溢れる“包み込む優しさ”の秘密は? 『午前3時の無法地帯』インタビュー
■働く女性には、オダギリジョーさんの演じる多賀谷がたまらなく癒されると評判ですが、オダギリジョーさんとしてはいかがですか? ありがたいですね。原作を読んだとき、多賀谷には「年上の包み込むような優しさ」を感じて、原作のイメージを壊さないようにしたいと思っていたので。実際の僕は全くそんな人間ではないですよ(笑)。
■朝から晩まで働く女性をみてどう思いますか? 実際、女性の方が根性があると思いますよ。どこの国でもそうなのかもしれないですが、南に行くほど女性が社会を支えている気がします。男の人はずっとお酒を飲んでブラブラしているのに、女性はちゃんと瓶でお水を運んで家庭を守ったりしてますよね(笑)。
女性の方が頼れる気がしますし、仕事にしても男性より責任を果たす意志が堅い気がします。ただ女性は無理しがちというところもありますから、そこまで疲れない程度にがんばっていただきたいですけどね。
■多賀谷がモモコの髪をシャンプーするシーンが女性に好評ですが、あのシーンはどのような気持ちでやられましたか? あのシーンは今泉監督の回でしたよね? 今泉監督は女性的な観点がちゃんと備わっていて、女性が求めているものをちゃんと理解できているんだと思いますね。
このシーンでは髪を洗いながら「可愛いね」と言っているんです。これ、本番直前に今泉監督が僕だけに耳元で、みんなに聞こえないように「“可愛いね”って言ってください」と言ってきたんですよ。だから周りから見たら僕が勝手にアドリブで言い出したようにみえたと思うのですが…(苦笑)。
実は監督からこのシーンの“ファンタジーさ”みたいなものを影で操られていたんです(笑)。
■多賀谷はモモコの良い相談相手ですが、オダギリジョーさんは実生活で後輩の相談相手になることはありますか? また、逆にオダギリジョーさんがモモコのような状況のときに、先輩俳優さんからアドバイスをしてもらったことはありますか? 僕は後輩と遊んだりすることはそんなにないですね。相談されたらもちろんのりますが、僕は考え方がすごく偏っているのであまり良いアドバイスはできないと思います(笑)。
逆に、先輩方からはいいアドバイスを頂いてきたのは確かですね。
原田芳雄さんなど尊敬できる俳優さんから伺った話というのは、自分の中で息づいていると思います。
■山下監督と今泉監督の共同監督でしたが、監督によって、作風の違いはありましたか? 今泉監督は背がすごく高いんです。けど挙動不審なところがあって、話す声も小さくて自信がなさそうに見えるんですね。身体が大きいのに心が小動物のように繊細というのがすごく僕は愛すべきポイントで、面白くて魅力的(笑)。
逆に山下監督は身体は小さいけれど、中堅の世代に入って余裕も出てきている感じがしていて、そういう意味でも山下監督と今泉監督はすごく対照的に見えました。そういう違いが作品にもきっと出ているんじゃないかと思います。
■山下監督と今泉監督は、元々インディーズの作品を撮られている監督なので、今回のような割と軽いメジャー感のある作品を撮られているお二人の監督をみていかがでしたか? 僕自身、インディーズの人間なので、作品に対する受け止め方はお二人と近いと思います。メジャー感のある作品に対して思うところはありますが、だからこそ“こういう作品はこうあるべき”というのは理解していると思っています。
そのメジャーな場でやるべきことをやるということではないでしょうか。