「心を通わせるには、唇ではなく…」、ミステリアスな色気の実力派俳優、綾野剛インタビュー
■黒木さんと初めて共演をされる中で驚かされたり、刺激を受けた部分はありますか? 演じているときは役柄の大瀧でしかないので、綾野剛としての驚きはなかったです。自分の客観性は持たないし、演じるときは基本的に自分を捨ててしまうので。セリフというのはコミュニケーションで、その行間にある感情の方が圧倒的に大切になると思うんです。
ただ、大瀧として「え、なんで今、響子はこういう表情してるの? 」って相手の行動に驚くことはありました。意外と単純に反応しているというか、本当にシンプルにやっているつもりです。
■劇中で見せた響子との鼻と鼻を合わせるシーンが非常に印象的でした。あのシーン、台本ではキスするはずのシーンだったんですが、大瀧は響子に対してそういう感情は抱けなかったんじゃないかと思って。人って自分のことを指す時、鼻を指しますよね。
心がそこにあるというか、鼻って一番綺麗な場所のような気がするんです。だから大瀧は響子と心を通わせるような気持ちで、唇じゃなくて鼻と鼻をあわせたかったんじゃないかなと。気持ちとしてはキスしているんです。