2014年5月13日 07:00|ウーマンエキサイト

「20世紀最後の巨匠」とピカソに言わせたバルテュスの美の世界


そのため、ポンピドゥー・センターやメトロポリタン美術館など、世界的な美術館コレクションのみならず、公開されることの少ない個人蔵の作品も含む、代表作40点余の油絵、日本初公開作品、素描や愛用品など100点を超える作品を紹介する、貴重な展覧会となっています。とはいえ、いざ絵と向き合えば、そこは私とバルテュスだけの世界。

扇情的な姿態でありながらクールな表情が唐突にも思える少女は、無防備な官能? 自己愛? 頭の中がグルグルしつつ、描かれた少女たちの間を彷徨っていると、ほの暗く絶妙な照明の効果も手伝ってか、研ぎ澄まされた美意識の緊張感に胸苦しくなるほど。

油絵なのに光沢のないマットな質感は、バルテュスがフレスコ画を目指して試行錯誤した結果だそう。初期ルネッサンスの巨匠、ピエロ・デラ・フランチェスカに最も影響を受けたという彼らしく、実は普遍性を尊ぶ古典主義的な作風であることが窺えます。

「20世紀最後の巨匠」とピカソに言わせたバルテュスの美の世界
圧巻のミュージアムショップで購入したおみやげたち。上部中央の超美男子は、マン・レイ撮影による22歳のバルテュス。この写真は、本展のために編まれた「バルテュス 猫とアトリエ」(NHK出版)という書籍に載っています。
子供のバルテュスが描いた愛猫ミツの絵本が可愛い。
右上のポストカードは「猫と少女」。本展で私が一番好きな絵。


猫好きな彼が、わずか11歳で描いた愛猫ミツ(MITSOU)のインク画に目が吸い寄せられました。その愛らしいこと。「猫は私の守護神であり、私自身、猫の生まれ変わりなのだ」とまで言っていたバルテュス。大人になってから描いた猫たちは、可愛いというより、まるで人間みたいな貌をしているのですが、彼ならではの猫愛を感じて目が離せません。

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