迷い猫が離婚しそうな夫婦を救う? 『愛してる、愛してない』【映画ライター渡まち子の「猫目線」映画レビュー6】

映画の中に登場する猫に注目して、作品の見どころや猫ポイントと共にご紹介するこのコラム。今回ご紹介するのは、韓国映画『愛してる、愛してない』(2011年)。結婚5年目にして別れを決めた夫婦の感情のすれ違いを、繊細に描いた大人のラブ・ストーリー。

迷い猫が離婚しそうな夫婦を救う? 『愛してる、愛してない』【映画ライター渡まち子の「猫目線」映画レビュー6】
◆あらすじ建築家の夫(ヒョンビン)と編集者の妻(イム・スジョン)は結婚して5年目の夫婦。出張に行く車の中で突然妻が別れを切り出します。「私、出ていく。好きな人ができたの」「…分かった」。夫はいきなりの妻の言葉に一瞬だけ沈黙しますが、怒るでもなく、穏やかに受け入れます。
やがて妻が出ていく日が来ますが、その日はひどい嵐で、外に出ることができません。そこに一匹の子猫が迷い込み、さらに子猫を探して隣の夫婦が訪ねてきます。きまずい空気の中、2人の別れを引き延ばすように、雨が降り続きます…。

迷い猫が離婚しそうな夫婦を救う? 『愛してる、愛してない』【映画ライター渡まち子の「猫目線」映画レビュー6】
◆韓国映画らしからぬ静けさに注目原作は、日本の小説で、直木賞作家・井上荒野の短編小説「帰れない猫」。日本でも人気の韓国映画は、泣く、笑う、怒るなどの感情が、日本映画のそれよりも数倍激しく、クドいくらいはっきりしているのが特徴なんですが、この映画は違います。セリフや説明が少ない映画って、逆に観る側の想像力が膨らむんですよね。何事もはっきりしている韓国映画の中にもこんな実験的な作品があるなんて、ちょっと意外な感じがします。

映画は、別れを決めながら、互いにまだ心のどこかで想いを残している夫婦の微妙な感情を丁寧にすくい取っていきます。
本当は引き留めてほしい。浮気して家を出るのにどうして怒らないの? 妻はどこまでも優しい夫のあいまいな態度にいらだちます。優しすぎる夫は妻を愛しているのに「行かないで」の言葉が出ない。この夫婦、本当に別れてしまうのか、あるいは元のサヤに収まるのか。先読み不能の展開は、緊張感たっぷりです。まだお互いに好きなのに、どうして別れちゃうのよ?! と、見ているこちらがヤキモキ(笑)。イケメン俳優ヒョンビンの抑えた演技や、演技派女優イム・スジョンの微妙な表情の変化は要チェックです。


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