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ドキュメンタリー映画「フリーダ・カーロの遺品」が 生き生きと描く“女の人生”に心が震える

ウーマンエキサイト
フリーダの強さは日常をちゃんと送っている生命力の強さ
「フリーダは衣装持ちですが、その中でもテワナドレスは圧倒的に多い。痛みをあれだけ抱えた人だったので、衣装に守られているという感覚があったんじゃないでしょうか」

ドキュメンタリー映画「フリーダ・カーロの遺品」が 生き生きと描く“女の人生”に心が震える

1937年ヴォーグに載った時に着ていたグリーンのブラウスが、お洒落で驚きました。


「自分をアピールするために、戦略的だったとは思うんですけれど、それだけじゃなく本当に大事にしていたんでしょうね。ただ、彼女はセルフプロデュースが本当に上手い人だと思います。本人は身長150cm足らずなのに、あれだけ大きく見せるというか、強く見せるというのは、衣装の力が大きいと思いますね」

ドキュメンタリー映画「フリーダ・カーロの遺品」が 生き生きと描く“女の人生”に心が震える

フリーダは、洗練された独自の感覚でテワナドレスを注文していたので、現地の刺繍家たちからは、あれは伝統本来のものではない、と言われているようです。

「センスいいですよね。石内さんも着物を着崩して着るんですけれど、本当にかっこいいと思います」

ドキュメンタリー映画「フリーダ・カーロの遺品」が 生き生きと描く“女の人生”に心が震える

石内さんが淡々と撮影した写真は、光や風と柔らかく重なり合って、まるで家族の遺品をファミリーで見ているような親密な日常感に繋がってくるから不思議です。

「石内さんもおっしゃってましたが、フリーダはいろいろセンセーショナルな物語を抱えていましたけれど、彼女の強さはそういうものじゃなく、あれだけの障害を抱えながら、ちゃんと日常生活を送っていた強さだと。映画でも、フリーダの日常の生命力を描きたいと思っていました。彼女は衝撃的な絵を描いていますが、タッチとか見るとすごく繊細で可愛らしかったりするんですよね。
実物を見ると、よりそれは感じました」

ドキュメンタリー映画「フリーダ・カーロの遺品」が 生き生きと描く“女の人生”に心が震える

© ノンデライコ2015


そんなフリーダの遺品を、あちらのスタッフが「こんなところで撮るの?」と驚くほど、石内さんはカジュアルに撮影していたとか。「ものを撮ってる感覚ではなく、身体としてものを撮れる人だから、フリーダ像を一回とっぱらって、もう一回、普遍的な女性というものを立ち上げるんだという意識は、最初から持っていたと思うんです」と小谷監督。

ドキュメンタリー映画「フリーダ・カーロの遺品」が 生き生きと描く“女の人生”に心が震える

© ノンデライコ2015


撮影中も、「フリーダ、そうだったの」と話しかけながら撮影していたという石内さん。メキシコに行く前から話しかけていたそう。「フリーダ、呼んでくれてありがとう」と。そんな女性二人の息吹が伝わってくる「フリーダ・カーロの遺品」、自分に投影して観てみませんか? きっと新しい発見があり、生きる勇気が湧いてくるはずです。


ドキュメンタリー映画
『フリーダ・カーロの遺品 ― 石内都、織るように』


2015年8月からシアターイメージフォーラムほか 全国順次公開
監督・撮影:小谷忠典 出演:石内都
http://legacy-frida.info/
予告編:http://legacy-frida.info/trailer.html

小谷忠典(こたに・ただすけ)
1977年大阪出身。絵画を専攻していた芸術大学を卒業後、ビュジュアルアーツ専門学校大阪に入学し、映画製作を学ぶ。
『子守唄』(2002)が京都国際学生映画祭にて準グラン プリを受賞。『いいこ。』(2005)が第28回ぴあフィルムフェスティバルにて招待上映。初劇場公開作品『LINE』(2008)から、フィクションやドキュメンタリーの境界にとらわれない、意欲的な作品を製作している。

ドキュメンタリー映画「フリーダ・カーロの遺品」が 生き生きと描く“女の人生”に心が震える

最新作『ドキュメンタリー映画100万回生きたねこ』(2012)では国内での劇場公開だけでなく、第17回釜山国際映画祭でプレミア上映後、第30回トリノ国際映画祭、 第9回ドバイ国際映画祭、第15回ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭、サラヤ国際ドキュメンタリー映画祭、ハンブルグ映画祭等、ヨーロッパを中心とした海外映画祭で多数招待された。

映画写真 ©ノンデライコ2015

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