会話泥棒の直し方! 「同意と共感」を知って気持ちいいコミュニケーションを
■相手のカラダとエネルギーのトラッキング
「会話泥棒」にならないためには、相手に誠実な関心を寄せて聞くという行為がとても大切になるといいました。では、どうしたら、あなたの「誠実な関心」を相手に寄せられるのでしょう。
相手のストーリーをきちんと聞くことは、とても大事です。一方、本人は無意識でも、言葉にはときおり「罪のないウソ」が混じってしまうことも。聞き手の受けとり方もさまざまです。ですから、言葉だけに頼らず、別のアプローチも取りいれるのが賢明のようです。
そのアプローチとは、相手の「カラダ」の観察です。相手の言葉を聞きながら、相手の姿勢や目の動き、表情、笑み、感情、エネルギーなども注意深く観察してみてください。
なぜなら、私たちのカラダは、とても正直だからです。
たとえば、言葉では「平気だよ」といいつつも、目をそらしてしまったりするのに気づくことはありませんか。
笑いたくないときに笑ったら、きっと弱々しい笑みになるでしょう。怒りを感じるのを抑えようとしても、つい声がいつもより大きめになったり、話すスピードが速くなったりと、変化してくるかもしれません。
うれしいときは、何もなくても微笑んでしまうでしょうし、周りの人もエネルギーとしてそれを感じていることがあるでしょう。相手を信頼できるかどうかを疑っているときは、首が傾いてしまっているかもしれません。
このように、「言葉と同時に、カラダに起こっていることもトラッキングする」ということが有効です。相手が本当は何を感じて、何を考えているのかを知る、とても大切な手がかりになります。
このような姿勢で相手と向きあっているとき、あなたのなかの「会話泥棒」でさえ、一緒になって相手を観察しているのかもしれません。
■共感しながら、相手の「いまの経験」を言葉にする
「会話泥棒」しないと決めた! じゃあ、聞いてるだけ? 観察してるだけ? 何もいわないの? そんな疑問が湧いてくるかもしれませんね。
いえいえ、もちろん、言葉も使っていきましょう。一体、どんな風に会話を進めていけばいいのでしょうか。
ここで大事なポイントは、
- 先ほどの体とエネルギーのトラッキングを活用していく
- 言葉にする内容は、なるべく短く簡潔にする
- あくまで、あなたが相手を観察していることからの「推測」を伝えている、ということを相手にわかるように話す
ということです。たとえば、
「幸せそうに見える」
「ちょっと落ちつかない感じ、なのかな…」
「いま、ちょっとリラックスしてるみたいに見える」
「笑顔になってる。うれしいのかな」
「本当に相手が感じていることかどうかは、はっきりはわからないけれど、こう感じてるのかな~」という断定しないニュアンスを含めて、相手に伝えるようにしましょう。
「な」や「かな」、「~のように(私には)見える」「これは私が感じたことだけど~、そういう感じなのかな」とあなたの推測であることを明確にしながら、相手に確認してみるのもいいと思います。
ここで覚えていてほしいのは、相手の感じていることを「正しく推測すること」は、この場合、じつはそれほど大事なことではないんです。こうじゃないかな? と推測したことに対して、「いや、そうじゃないんだ」といわれても、落ちこむ必要はないのです。
むしろ、より相手を詳しく知ることができるチャンスになります。あなたの関心や好奇心が誠実であると伝わった相手ならば、「そうじゃないけど、もっと、こういう感じなんだよね」と、より深い自分自身の洞察をあなたに伝えてきてくれるでしょう。
そうしたら、またあなたの関心と興味を相手の新しい洞察に向けてください。「あなたのことに関心があって、もっと知りたい」ということを相手が感じられることが、一番大切です。そんなやりとりの中で、あなたと相手の関係はより深まっていくでしょう。