連載記事:「扶養の範囲」が変わる!2016
Vol.1 働く主婦の皆さん、「扶養の範囲」が変わるのを知っていますか?
© Monet - Fotolia.com
いわゆる「扶養の範囲」。ママならば、何となく気になるワードだろう。扶養の範囲とは、妻の収入が一定額を超えないことで、「夫の税金」や「妻の社会保険料」に配慮をしてもらえる制度のことだ。
■平成28年10月から「扶養の範囲」が変わる
「扶養の範囲」の線引きが、平成28年(2016年)10月から変わることはご存じだろうか? これを知っているのと知らないのでは大違い。パートのシフト申請の出し方が違ってくるかもしれない。詳しい内容を、社会保険労務士の守屋先生に伺った。
守屋先生は、元・専業主婦。結婚後、3人の子どもを授かり、3世代(一時期4世代)同居7人家族の専業主婦として13年間を過ごした。
一番下の子が幼稚園に入った頃、いわゆる「ミドルエイジクライシス」(※1)と思われる脱力感に襲われ、朝起きても、力が入らない、何もやる気が出ない状態に陥った。そして、こんなふうに思ったそうだ。
「今まで、“良い娘、良い妻、良い嫁”と、ずっと誰かのために生きてきたけれど、私自身の人生の足跡はつけられたのだろうか? 後半の人生、私らしく生きるとは、どういうことだろうか」
そこから、いろいろと考え始め、勉強をスタート。1999年に社会保険労務士資格を取得し、開業されたという経歴の持ち主だ。
(※1)精神科医・心理学者のユングが提唱した、中年期に気持ちや体調面で「今までの生活」を続けることが難しくなること。「中年の危機」と訳されることがあるが、「後半人生を見直すための転換期」という意味で、「きわめて正常なこと」とも言われている。
さて、「扶養の範囲」に話を戻そう。
■「扶養の範囲」がもたらす2つのメリット
「扶養の範囲」について知りたいと思ったら、まずは大きな2つのメリットを知っておくのがよいだろう。
1つ目のメリットは、
夫の税金が安くなる点。独身の人と家族を養っている人とでは、税金を払う力は後者の方が弱い。そこを考慮し、「配偶者を養っている人(妻が扶養の範囲で働いている人)は、税金の負担を軽くしてあげます」という優遇措置(配偶者控除)を夫が受けることができ、税金が安くなる。