子どもと自分の未来のために「食事」を変える ~山田まりやさんインタビュー
■知識があれば、選択肢が増える
とはいえ、まりやさんが実践しているのは、凝った料理をつくるとか、ストイックな料理法にこだわるといった類の食事ではありません。人によって嗜好も体質も違うのだから、誰かの正解ではなく、他ならぬ
自分にとっての正解を見つければいいという考え。実際、まりやさん宅の食事事情は、一般的なそれとはちょっと変わっているようです。
半日かけて船で遊覧する漓江下り。まりやさん、船内でたっぷりお話をしてくださいました。
「小豆、雑穀入り五分づき玄米と2年以上発酵したお味噌をベースに、お腹がきちんと空いてから食べるというスタイル。たとえば三食しっかりとらなければならないという思い込みもそうですが、いろんな物事に対しての考え方の癖が人それぞれにあって、人はそれにものすごくがんじがらめになっています。私が以前、体を壊したのも、結局はそういうことの積み重ねからだったんです」
自分で勝手につくり上げたルールから抜け出せずに、勝手に苦しい思いをしている。けれど本来は、そのルールは不要などころか、弊害になっている場合さえあるのかも。健康に良いといわれる商品やメソッドは数あれど、本当に自分に合っているものはどれなのか、そもそも、そこに正解はあるのか。まりやさんが本で伝えたかったのも、そこに尽きると言います。
「自分へ厳しいルールを設け、神経をすり減らしてストレスがたまっては意味がないので、義務ではなく、脅すのでもなく(笑)、自分が本来的にもっている自然治癒力を高められるように我が家の味、母の味をつくっていけたらと思っています」
■必要なのは、気持ちの切り替え
道中、まりやさんはいつでも寛容で穏やかでした。桂林は、中国屈指の観光地として整備されており、治安も悪くありません。しかも、空気がきれいで食べ物もおいしいため、子連れ旅行も比較的安心。
桂林のカルスト地形が生む奇岩の景観は、世界遺産に登録されています。
それでも小さな子どもを抱えて初めての海外ともなれば、何かと心配や不安もなくはないはずですが、まりやさん、全然ピリピリしていないのです。一方、崇徳くんも、おイタをしたり、イヤイヤしたりがなく、いつもニコニコ、ハツラツとしていました。
崇徳くんのママ大好き光線を、いつでもどこでも全身で受け止めるまりやさん。
とはいえ、母親だって人間。いつでもパーフェクトなわけではありません。余裕がないときや、気分のすぐれないときだってきっとあるはず。そんなとき、まりやさんは崇徳くんにどう接しているのでしょう?
「息子に対しては、
素直に感情を出しています。だけどひとつ気をつけているのは、引きずらないこと。じつは、これは息子から学んだことなんですが、私は些細なことで傷つき、すごく根に持つタイプでした。怒りや悲しみに支配され、心にしこりを残してしまうのです。でもそれって、誰にも優しくなれないし、なんの解決にもならない。気持ちは、昇華させないといけないんですよね。
羅漢果の農園に到着。山中でブドウのように棚をつくって栽培する羅漢果が、ちょうど実りの季節を迎えていました。
息子は心も体も健やかで丈夫(タフ)。転んでも『あはは〜びっくりした~!』と言って泣かないんです! そんな底抜けに明るい息子を見ていて、これは自分が変われるチャンスだなと素直に感じられたんです。いままで自分ひとりだったらなんとかなってきたものが、子どもがいるとそういうわけにもいかなくなります。短期集中で気持ちをパッパッと切り替えていかなくては、時間がもったいないと思いました」
息子の進化に追いつかなきゃと思ったというまりやさん。子どもの成長はあっという間。ぼんやりしていると、大切な時間は瞬く間に過ぎていってしまう。そこで、毎日を気持ち良く笑顔で過ごすためにはどうすればいいだろう、と考えた結果でした。
羅漢果は雌雄異株で、受粉はすべて人間の手作業で行われます。筆でひとつひとつ雄花の花粉をとり、雌花に直接つけていくという手間のかけ方にびっくり!
生のままかじっても食べられないほど渋い羅漢果が、エキスを抽出すると砂糖の約300倍もの甘さになります。