2016年12月28日 21:30|ウーマンエキサイト

松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】


■東京は海外のような場所だった!? 夢を叶えるまでの道

松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

ちゃず─松原さんがこの仕事を始めたきっかけは?

松原─僕は富山出身なのですが、僕が若い頃は、東京は夜行で何時間もかけてやってくるような場所で、海外とあまり変わらないような感覚だったんです。でもアニメーションや漫画みたいな仕事は都会にしかないものだったので、やりたいとなると行くしかない。でもかなり遠い。だから夢だと思っていました。田舎で普通に暮らしていくための仕事も考えていました。

ちゃず─この職業に就くハードルを感じてらしたのですね…。

松原─はい、ものすごく。なので、一段クッションとして、まずはアニメ系の専門学校に行きました。
そこからフリーのような形で、委託で仕事を始めて。

ちゃず─最初から社員ではなかったんですね? 大変じゃなかったですか?

松原─大体皆そうなんじゃないかな? 作品ごとに集められて、スタジオのなかに入るんだけど、その作品が終われば、また次の作品へ行く、という形です。腕が上がると色々と声がかかるようになって、あちこち移動するようになっていく。人のつながりで助けたり、助け合ったりしてきたという感じです。苦労とか頑張ったとかあんまりないですね。皆、頑張ってるじゃないですか。どんな仕事をやっていても、大抵の人は努力していると思うので。

松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

作画監督、デザインワークス、原画として参加した、劇場用アニメーション映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』より引用 (c)カラー



■パパとしての日常

ちゃず─松原さんが育った家庭は? どんな子どもだったんですか?

松原─うちは放任に近かったです。
親が離婚して、教育的な環境下にはなかったんですよ。上京も自分で決めました。コミュニケーションほぼゼロの家庭だったので、結果的に自分の好きにできる環境だった、というか。僕は堅実な性格なので、そういう状況でなかったら地元にいたと思うのですが、家庭という土台がなくなっていたので、だったら東京でも同じかなと思い。小さい頃にそろばんと習字を一瞬かじったくらいで塾にも大学にも行っていないので、自分の子供の習い事のことも正直よくわからないんですよね。

ちゃず─お子さんに絵を教えられることはあるのですか?

松原─まだしていないですね。英才教育をしたいとも全く思いませんが、一個だけ、英語が話せたらすごくいいな、というのはありますね。奥さんが話せる人で。
話せるとどこでも行っちゃえるので、あれはうらやましいです。思うだけで、やらせてはいないのですが(笑)。

ちゃず─それもひとつの方法ですね! 最後に十年後へのお子さんへのメッセージをいただけますか?

松原─僕はもういい歳(51歳)ですが、上の子は5歳、下の子3歳なので、最低でも17年後までは頑張らなくちゃな、なんて思いますね。普通に育ってくれればいいし、それだけで十分有難いです。

ただ、今のところ子供たちのなかで、父親は家にいないことになっているだろうな、と。将来的にその影響出てきちゃうのかな…なんて思うと気にかかっています。でも正直、この仕事だと普通なんですよね。今作でもピーク時は半年間、2〜4日に1回しか家に帰れませんでした。
朝バタバタするなかで一瞬、顔を見られるくらいで。子どもからすれば、僕は「たまに朝いるだけの人」で。どんな感じに見えているんだろうな…。

松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

ちゃず─お休みは全然ないんですか!?

松原─普段はあるんですけどね。この半年間はなかったです。作品によっては追い込まれることも多々ある、という。本人はつらいと思ってないのですが、周りから見るとそう見えるかもしれません。少ないですが、休みのときは必ず家族と行動していますよ。


ちゃず─お子さんには、どんなふうに接しているんですか?

松原─その時その時をかみしめるような感じですかね(笑)。いつも一緒にいられるわけじゃないので、「抱っこ」と言われたら必ず抱っこしてあげるとか。すぐ大きくなっちゃうし、そのうち重くなったらできなくなっちゃうし。世のお母さんたちからも「小さいときは一瞬しかないから、もっとかわいがればよかった!」なんて証言をよく聞くじゃないですか。

松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

会っている時間が短いせいか、僕の中ではまだ小さいイメージなんです。服を着せたり、ボタンを止めてあげたり、靴を履かせたり、奥さんからすれば「それはもう自分でできるのよ」ということでも、やってあげたいんですよね。あまり普段やっていないせいで、そういう小さな手伝いをやりたくて。「うざがられるまではやっていたいな〜」なんて思っています(笑)。


松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

ちゃず─こうやってお父さん側の本音を聞かせていただけると、また違う視点が得られるな、と思ったインタビューでした。


松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

© こうの史代・双葉社 / 「この世界の片隅に」製作委員会



帰り際には、照れつつも「一番大事にしているのは、奥さんと子どもが笑顔でいることです」という温かいひと言も。忙しい仕事のなかでも、ご家族の存在が何よりも支えになっている様子に感銘を受けつつ、そのあたりの思いが、きっと『この世界の片隅に』の世界観にも反映されているんだな…!なんて思った、ちゃずなのでした!

松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

壁に飾られたポスターは、スタジオカラー最新作。BSプレミアム 2017年2月18日(土)午後8:00~8:45 前編 2017年2月25日(土)午後8:00~8:45 後編 放送予定の 『龍の歯医者』ポスター。



松原秀典作画監督が語る「この世界の片隅に」と一番大切なもの 【ゆめを叶えた大人の子ども時代、ヒヨっ子ちゃずのイラストインタビューVol.2】

■ 『龍の歯医者』 ■スタッフ 監督:鶴巻和哉 原作・脚本:舞城王太郎 脚本:榎戸洋司 キャラクターデザイン:井関修一 制作統括・音響監督:庵野秀明 主題歌:「ぼくらが旅に出る理由」作詞・作曲:小沢健二 編曲:ナカムラヒロシ(i-dep) 歌:RINKU(Mistera Feo)■放送予定 BSプレミアム 2017年2月18日(土)午後8:00~8:45 前編 2017年2月25日(土)午後8:00~8:45 後編 ■キャスト 岸井野ノ子 : 清水 富美加 ベルナール・オクタビアス :岡本 信彦 悟堂ヨ世夫 :山寺 宏一 夏目柴名 :林原 めぐみ ©舞城王太郎,nihon animator mihonichi LLP. / NHK, NEP, Dwango, khara


映画『この世界の片隅に』
HP:http://konosekai.jp/

アニメ『龍の歯医者』
HP:http://www.nhk.or.jp/anime/ryu/#1

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