2017年4月13日 20:00|ウーマンエキサイト

聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点【知っている人だけトクする税金術 2017 第4回】


■財産の評価を落とす
「小規模宅地の評価減の特例」とは

聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点【知っている人だけトクする税金術 2017 第4回】

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「小規模宅地の評価減の特例」とは、自宅を相続する場合には、330m²(約100坪)まで自宅の土地は、評価額を80%少なくするというもの。

この特例がかなり使える。これまでは文字通りの「自宅(親が住んでいた家)」のみが対象だったが、最近の改正で、二世帯住宅も同居をしているという意味で自宅扱いになった。

小規模宅地の評価減の特例を受ける(税金の優遇を受ける)ためには、国が提示する「要件」を満たしていなければならない。この要件は、法律の文章だけではわかりづらい。
Q. 実家を二世帯住宅に建て替えをして住んでいます。土地の相続税評価額は5、000万円。父が亡くなって、小規模宅地の評価減の特例を使うと税金がいくら安くなりますか?
A. 1,200万円安くなります(相続税率は30%とする)

具体的な事例については、こちらの記事を参照してほしい。



■税金の計算はこうなる
「二世帯住宅。父が亡くなり、相続が発生した場合」

母と本人(パパママ)はいずれも同居しているとみなされるので、どちらが自宅を相続しても小規模宅地の評価額の減額の特例を適用でき、80%評価減ができる。
A. 自宅の評価が下がる金額: 5、000万円 × 80% = 4,000万円
B. 相続税の減少額: 4,000万円(A)× 30%(相続税率) = 1,200万円

■相続税の本当の大きな問題は、“1回目” ではない


聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点【知っている人だけトクする税金術 2017 第4回】

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ここで特筆したいのは、父のあとに母の相続が起きたとき(母が亡くなったとき)のことだ。これを、「二次相続」という。

基本、「相続税は『代』が変わるときにかける」という考え方がある。父が亡くなったときは、母が生きていれば「配偶者控除」が使える。「配偶者控除」は、ものすごく大きな税制優遇なのだ。

しかし二次相続のとき(母が亡くなり、パパママの「代」になるとき)こそが、本当は大きな問題となるのだ。

上記の例をとると、母が亡くなって、子ども(パパママ)が同居していなかった場合には、「小規模宅地の評価減の特例」が使えず、100%の相続税がかかってしまう場合があるからだ(実際には、子どもが家を購入していなければ特例が使える場合もある)。

つまり、片方の親が亡くなったときは、もう片方の相続も視野にいれての相続税対策が必要だということ。
もっといえば、親の生前から二次相続の対策を考え始めておくに越したことはない。

次回は、「教育資金はおトクに贈与してもらう! パパ・ママが「親のお金」をうまく生かす方法」です。

この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。



■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書
聞きづらい財産の話はどう話す? 30代で知らないと損をする「親の相続」問題点【知っている人だけトクする税金術 2017 第4回】

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湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)

湊 義和さんプロフィール
中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。



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