連載記事:知っている人だけトクする税金術 2017
教育資金はおトクに贈与してもらう! パパ・ママが「親のお金」をうまく生かす方法【知っている人だけトクする税金術 2017 第5回】
■そもそも「一度に多額の贈与」は、いったい何が問題なのか?
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通常、一度に多くの贈与を行うと多額の贈与税がかかってしまうが、
「相続時精算課税制度」を利用すると、一度に
2,500万円まで贈与しても贈与税がかからない。
しかし、この制度は、せっかく生前に贈与しても、相続税の計算のときには贈与した財産の金額が、また
相続財産として扱われるので、相続税がかかる人にはメリットがあまりない制度だ。つまり、「相続時精算課税制度」は一度に大きなお金を贈与できるかわりに、実際の相続発生時には、その金額は相続財産として計算される。
一方で、
「暦年課税制度」は、
年間110万円までの贈与なら税金がかからない。子どもに贈与した財産は、相続発生時に
「子どもの財産」として計算され、相続財産とはみなされない。
●「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」のメリット・デメリット
(Woman excite編集部作成)
前述の通り、相続税の課税ラインが引き下がったので、「将来、相続税がかかる人」は増加すると予想される。それを考えると、「相続時精算課税制度」を使う人は少なくなっていくだろう。
■孫への教育資金の贈与は「コツコツ行う」のがおトク
ところで孫への贈与というと、
「教育資金贈与」が話題となっているが、この制度は、「1,500万円までなら贈与時に贈与税がかからない」というものだ。教育に限ってしか利用できなく、また贈与した孫が30歳になるまでに使い切らなかった場合には、贈与税が課税されてしまう。
「将来、相続税がかかる人は、親に
『暦年課税制度』を使って、コツコツと
時間をかけて相続財産の移行を行うのが得策だと伝えてほしいです」(湊さん)
時間をかけて相続財産を移行させることで、パパやママの世代が教育資金など必要なときに役立ってくるのではないだろうか。
次回は、
「身近な「医療費控除」も新制度がスタート! 家計を元気にする節税のきほん」です。
この記事は2017年1月の取材に基づいて書いています。
■今回取材にご協力いただいた湊 義和さんの著書
『
家計を元気にする 税金活用術 「節税」から「活用」へ』
湊 義和 / 中央経済社 ¥1,600(税別)
湊 義和さんプロフィール
中小企業を応援する政府系金融機関のサラリーマンから一念発起して税理士になった経歴の持主。
とかく難解な税金の世界の水先案内人として、一般の方の税金相談から独立開業、二代目の事業承継などさまざまな相談に乗るのが生きがい。趣味は最近少し人気が回復してきたスキー。
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