なぜ赤ちゃんはスプーンを落とすのか? 赤ちゃんの驚きの学び能力とは 「いのちのはじまり」【前編】

目次

・世界中の育児に奮闘する家庭の悩みと喜びとは
・赤ちゃんは、“最高の科学者”
・生活環境によって子どもの学習能力が異なってくる
・探求心や創造力が養われなくなってしまう原因は?
『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』
“育児に正解はない”とは、よくいわれることですが、そういわれても何が正解かを求めてしまうのが育児。「ここは叱るべきか」などと、自分の育児法に日々頭を悩ませている子育て世代の親御さんはけっこう多いのでは?

そういった中で、今回ご紹介するドキュメンタリー映画『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』は、良い意味で、子育てに関するひとつの指針を与えてくれる1作といっていいかもしれません。

■世界中の育児に奮闘する家庭の悩みと喜びとは

ブラジルのエステラ・ヘネル監督がてがけた本作は、ブラジル、アメリカ、フランス、イタリア、インド、中国など世界9ヶ国の、現在育児に奮闘中の家庭を訪問。

育休を経ての職場復帰時期について頭を悩ます母親や、世間からの目を気にしながら子育てをするレズビアンカップルなど、人種も社会的立場もさまざまな人々からそれぞれの育児の悩みや喜びを聞き出すとともに、ユニセフ本部でECD(乳幼児期の子どもの発達)世界キャンペーンを統括するピア・ブリットらいわば幼児教育のエキスパートたちへのインタビューを収録した内容になっています。

すべての言葉や提示内容をもちろんうのみにすることはできません。それでも子育て中の身としては、子育て方法についていろいろなことに気づかせてくれるエピソードが満載。子を持つ親としての見地に立ったとき、知ってて損はないと思える情報がたくさんあります。


■赤ちゃんは、“最高の科学者”

『いのちのはじまり:子育てが未来をつくる』
とりわけ、目からうろこともいうべきエピソードが子どもの頭脳メカニズムについて。おそらく日本では、「生まれたばかりの赤ちゃんの頭の中は白紙でまっさらな状態。そこからひとつづついろいろなことを学んでいく」と、認識されているのではないでしょうか?

実際、哲学者や心理学者、精神学者も長らくそういう認識できたそうです。でも、それはもう古い考え方。過去30年の研究から、現在では赤ちゃんは“この世界で最も学ぶ能力が高い存在”と判明し、“最高の科学者”と呼べるぐらいの能力を持っているそう。

赤ちゃんは理性に欠け、自己中心的で物事に集中することができないと思われてきました。でもじつはまったく逆。集中することしかできない存在だったのです。
赤ちゃんは集中して身の回りで起きることに敏速に反応し、それらで得た情報を吸収・活用してこの世界を理解しているそうです。

たとえば小さなお子さんをお持ちのなら、何度言い聞かせても、子どもがスプーンを床に落とし続けるといった経験をしたことがあるのではないでしょうか? これも赤ちゃんが学んでいる証拠。赤ちゃん自身が「スプーンを落としたらどういうことになるのか?」と推測や仮設を立てて、予測どおりの反応になるのか、それとも違った反応があるのか? ひとつひとつ確認して学んでいるそうです。

こんなことを赤ちゃんが考えているとは正直驚き。でも、この見地に立つと、赤ちゃんもひとりの人格があることがよくわかって、子育てのストレスが少し和らぐのではないでしょうか。

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