これまで「投資」をしてこなかった人たちでも、はじめたとたん、
「投資アンテナ」が立つひともいるでしょう。これは勇気をもって投資の第一歩を踏み出したからこそのアンテナ。でも、たくさんの投資に関する情報の中から、取捨選択をどう行っていけばいいのでしょうか。
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全6本に渡ってお送りした本連載も、いよいよ最終回。今回は、投資に対して、「アンテナを立ち始めたとき」に、入ってきがちな情報について、横山さんに検証していただきます。
■金融機関の「おすすめ商品」は、本当にオトクなの!?
「投資を始めよう」と思い立ち、証券会社や銀行から投資に関する資料を取り寄せたり、証券口座を開いたりすると、必ず
「おすすめ商品」が紹介されます。ネット証券会社が、サイトのトップページなどで大きく宣伝している商品も、ほとんどはその会社の「おすすめ」といえるでしょう。
おすすめ商品は、たいてい
高利回りをうたっており、もしかしたら、「バランス型の投資信託やインデックスファンドへの投資より、そちらの方がよいのではないか」と思ってしまう人がいるかもしれません。
「一見どれほどおトクに思えても、
金融機関のおすすめ商品には、『手数料が高い』『リスクが高い』といった問題が隠れている可能性があります。とくにはじめて投資をする方は、『おすすめ』という言葉や目立つ広告に惑わされないようにしましょう」(横山さん)。
■個別株やFXで「勝てる」確立は低い
投資に慣れてくると、「別の金融商品も試してみたい」と考える人も出てくるでしょう。貯金や堅実な投資を続けながら、生活に必要なお金をしっかり確保し、きちんと研究したうえで行うなら、もちろんそれもありだと思います。
ただ、横山さん自身は、経験やさまざまな方から聞いたお話を考え合わせると、次のように考えているそうです。
「よほど投資に精通した人でない限り、個別株への投資で
成功する確率は、それほど高くありません。とりわけ短期間で利益を出すのは難しいでしょう。
『9割が負けて1割が勝つ』といわれる株式の世界で、プロの投資家たちと争い、利益を上げるのは、よほど勉強と経験を重ねなければ難しいのかもしれません」。
(横山さん)
唯一、横山さんが個別株でおすすめしている買い方は、ある程度勉強したうえで、「好きな会社や応援したい会社の株を無理のない範囲で買うという方法。
「FX」という言葉も、投資とセットと語られているような気がして、何となく気になるところです。FXとは、
外国為替証拠金取引のこと。米ドルやユーロなど外国の通過の動きを予想して売買し、為替差益(かわせさえき)を得るというものです。
「
私はFXは、投資というより完全にギャンブルだと思っています」(横山さん)
ギャンブルの多くがそうであるように、FXで勝てる人は、ほんの一握りだそう。途中まではどんなに順調に利益を得ていても一度の失敗ですべてを失ってしまう可能性もあります。「生半可な知識しか持たずに個別株やFX大金を投じるのは、絶対に避けましょう」(横山さん)
■外貨預金にも注意が必要
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為替差益が出る可能性がある金融商品としては、FXのほかに
「外貨預金」があります。外貨預金は、米ドルや豪ドル、ユーロなど、さまざまな国の通貨で預金をするというもので、銀行で扱っています。
「預金」という名前がついているだけに、安心感や親近感を持つ人もいるでしょう。けれども横山さんは、こう言います。
「
外貨預金は円建て(普通の)預金よりも、はるかに
リスクの高い金融商品です」
外貨預金のデメリットは、大きくわけて二つあります。
●外貨預金のデメリット
・為替差損が出る可能性がある
為替差益が出る可能性があるということは、為替差損が出る可能性があるということ。為替相場は、プロでも正確に読むことはできません
・手数料が高い
外貨預金では円を外貨に換えて預金し、満期になったら再び円に戻すのですが、いずれの作業にも、それぞれ為替手数料がかかります。たとえば米ドルで1万ドルを預けると、銀行窓口で1万円~2万円、ネットバンクでも2千円~5千円の為替手数料(※)がかかります。
※銀行窓口0.5円~1円、ネットバンクで0.1~0.25%(金融機関によって異なる)で試算
出典:「はじめての人のための 3000円投資生活」(横山光昭著/アスコム刊)より抜粋
外貨預金を、為替相場によって「勝手に上下する預金である」という前提を理解しておく必要はあるでしょう。「くれぐれも、『預金』という言葉に惑わされないようにしましょう」(横山さん)
これにて、はじめての人のための3000円投資生活連載も終わり。
この記事を書いている私自身、数年前まで、「投資!? そんなの怖くて絶対にイヤ!」と思っていました。
けれども、取材を通じて、「公的年金は、老後の生活の基幹部分くらいしか出ない」と痛感し、「老後のお小遣い稼ぎ」のつもりで、投資を始めました。
マイナス金利の現在、銀行の金利はすずめの涙ですよね。漠然と「お金の不安」を抱えるよりも、まずは一歩を踏み出してみることも「アリ」かもしれませんよ。
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