まるで海外の家のような、洗練されたインテリアのご自宅と、実際に使ってみてよかったものを幅広く紹介する
ブログ「ひよりごと」が人気の
ひよりさん。
最近フルリフォームが完成したばかりというご自宅で、試行錯誤してたどり着いた
ものの選び方、
居心地のいい空間の作り方を教えていただきました。
【前編】では、
収納やきれいを保つための掃除術をご紹介します。
これまで出された著書。近著に、『後悔しないモノ選び』(KADOKAWA)、『「ひよりごと」我が家の逸品』(イースト・プレス)』。
■自分の中で、収納ルールを決める
子どもの頃からインテリアが好きだったというひよりさん。初めての買い物体験は小学生の頃。おこづかいを貯めて自分で選んだのは、真っ黒の勉強机だったといいます。
「棚もなにもない天板の机で、大人の雰囲気があってかっこよかったんですよね。チラシの間取り図を見て、自分だったらここにこういう家具を置きたいとか、大人になったらこういう外壁の家に住みたいと、イメージを膨らませているような子どもでした。自分の部屋より、家そのものに興味があったんです」
新築当時からリフォームまで、京都の家具メーカー「FILE(ファイル)」にオーダーしたキッチン。
子どもの頃から独自のセンスを持っていたひよりさんが、家を建てたのは23歳のときでした。
「食器棚を探しにいったお店で、オーダーキッチンを見てしまって、これしかないと思ったんです。そのとき社宅に住んでいたので、あのキッチンのある家に住むには、家を建てるしかないと、すぐに義母に相談しました。夫は無頓着というか、全部考えてもらったほうが楽というタイプなので、主張しあってケンカすることは全然ないんですよ」
スライド式の収納で、奥にある重い鍋も楽に取り出せる機能性も充実。キッチンアイテムも、白、黒、グレーに統一しています。
そうして、ひよりさんの想いが詰まったのがこの家。ものが好きで、たくさんお持ちだといいますが、とてもすっきりして見えます。
「世の中的にはミニマリストが流行っていて、ものが少ない方が、心が豊かであるといわれていますが、私は自分の好きなものに囲まれて、楽しければいいと思うんです。
もちろん、ものが多いことでストレスがたまる方は、減らしたほうがいいと思いますが、収納も自分が納得のいったものになっていれば、それでいいかなと思います」
実際に見せていただいた収納は、お店のディスプレイを見ているように、整然と並んでいて、とても気持ちがいいです。
「ある程度収納のなかがぐちゃぐちゃに見えないように計算しつつ、買っていますね。例えば、白い器なら、たくさん揃っていても整然として見えるので、白い器は増えてもいいなど、ルールは設けています」
キッチン下の収納は、白い器が映えるようにグレーにペイント。色数が少ないので、とてもすっきりして見えます。
ひよりさんの収納術のひとつが、
2割の隙間を残すこと。それ以上になったら、
手放すこともあるのだといいます。
「全体的に引いて見ると、食器が多いなという感じがするんですけど、寄せればまだまだ入るんです。お買い物が好きなので、もう入らないから買えないと思うと寂しくて、まだ入ると思える余裕が欲しいんですよね。収納できなくなったものは、友だちに譲ったり、物々交換することもありますが、繰り返すうちに、こういう系統の食器は手放す傾向にあるなとか、自分の中で学習していきました」
■開けたときに、ちょっと「心が躍る」ような収納を
家を建ててから20年近く。ここ2、3年でリフォームを手がけたというひよりさん。
特に気に入っているのはリビングだそう。
「だんだんすっきりさせる傾向にある気がします。飾り付けを減らしたり、色数を絞ったり、ひとつひとつのパーツを大きくしたりしています。小さな雑貨って手軽に買えてしまうじゃないですか。でも手の平で見るのと、部屋の中にぽつんと置いた感じって、全然スケール感が違います。小さいものを飾ると、ごちゃごちゃと見えてしまいがちなので、
大きなものをどさっと飾るようになりました」
細々としたものは、トレイに入れてまとめるとすっきり見えるそう。高級感のある大理石のトレイは、「ニトリ」で購入したもの。
新築時からリビングのキャビネットにずらりと並ぶファイルボックスには、雑誌やカタログを収納。
「いまは画像加工アプリで、家の中に置いたときの雰囲気を見ることもできます。また、自分の家の写真を撮ってプリントアウトして、そこにペンで書き込んだり、もしくは商品の写真をプリントアウトして切り取ったものを貼ったり、壁にテープを貼ってサイズを引いてみたりもしています。そうすることで、買い物の失敗も少なくなると思います」
収納は定期的に、食器なども棚からすべて出して、掃除をしつつ、より使いやすいように
見直しているそう。
「
全部出す、というのが結構重要だと思います。見渡して間引くのと、全部出してもう一回入れ直すというのは違うような気がしますね。持っているものの
量を把握するのもありますし、これはもう手放してもいいかなという
決断がつきやすくなります」
「夫は几帳面で、整理整頓したがりますが、私はもともと散らかすほう。人によって違うと思いますが、私の部屋が散らからないコツは、
片付けたくなるポイントを探すこと。
引き出しなどの収納を開けたときに、自分の気に入っているものが、きれいに見えることなんですね。開けたときに、ちょっと
心が躍るような収納になっていると、またその状態に戻したくなる。それが、きれいに保つポイント。
パントリーの奥行きが深いと、とにかくものがいっぱい入ってしまって、入ると入れてしまうから、浅くしたり。ただのストックも、お店でものを選ぶような感じになれます」
きれいに並べられたキッチンの引き出しの中。調味料は「OXO」のステンレスのポップコンテナに入れて。きれいに収納していると、一つ欠けているとすぐに戻したくなるそう。
何が入っているのか、ひとめでわかるようラベリング。
ドイツのカトラリーブランド「アイヘンラウプ」など、カトラリーもデザインと実用性を兼ね備えたものを揃えています。
小さな引き出しには、輪ゴムやナプリングリングを。
引き出しのなかには、「インターデザイン」の透明なドロワーオーガナイザーを入れて仕分けを。ドイツ「レズレー」のトングから、「無印良品」のシリコン調理スプーンまで。色も統一感があります。
確かに、形、色、テイストがきれいに揃っていると、すぐに片付けたくなりそうです。苦手な家事も、自分がやりたいという気持ちにさせることが大切なのだとか。
「友だちも一緒にキッチンに立ってくれる機会が結構あって、使いやすいから、洗い物や片付けをやりたい、って言ってもらえるんです。元に戻すのが気持ちいいって。片付けたいポイントは、私だけじゃなくて、見ている人にもきっと共通しているところがあるんだろうなと思いますね」
「私はものが揃っていたり、きれいに見えたり、道具にこだわったりという視覚的な要素が大きいのですが、ブログをやるうちに少しずつわかっていきました。ブログという第三者の目があると、自分を見直すきっかけになるんです。例えば、写真を撮るとき、よく見せようとして間引いたりすることがあるんですよ。ということは、自分の中でダメとしていることで、必要ないものなんだ、と再確認できます」