忘れたい過去を忘れる方法。イヤな記憶とサヨナラするには
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思い出したくない、思い出すと辛い気持ちになる。誰にでもそんな
「イヤな記憶」があるものではないでしょうか。忘れたいのに、いつまでたっても忘れられない。精一杯目をつむり、見ないようにすることで距離をとっていくしか方法はないのでしょうか。
でもイヤな記憶は、持ったままで幸せになることはありません。新しい年の始まりを迎え、
イヤな記憶と決別するには、ちょうどいいタイミングかもしれません。
■イヤな記憶にとらわれてしまうのはどうして?
思い出したくない思い出。カウンセリングを受ける患者さんたちのそういった記憶をひも解いてみると
「小さい時の不快な経験」である場合が多いようです(事故や事件に巻き込まれた記憶など、原因が明確である場合を除きます)。
「誰かとつながっていたい」という所属の欲求、そして「認めてほしい」という承認の欲求、これらが満たされなかったときに、イヤな記憶は生まれやすいといわれています。
例えば、子どもの時、お母さんから「うるさい!」と言われると「自分はうるさいんだ、嫌われてしまう」という思いを抱き、欲求が満たされずにイヤな記憶として残ってしまうことがあります。
あるいは「おはよう」とあいさつしたのに無視された…。大人なら「今、忙しいのかな?」とこれまでの経験からいろいろなケースを考え、忘れることができますが、子どもは圧倒的に経験が少なく、快・不快といった両極端な感情しかないために、イヤな記憶として
残りやすいのです。
■「親に愛されなかった」思いがイヤな記憶に
イヤな記憶とはそもそも、所属、承認の欲求が何らかの出来事で満たされなかったと、自分で認識してしまったものです。一般的には、成長するにつれて「これはできないけど、これはできる」といった経験を積んでいき「自分は認められている」ことを学び、イヤな記憶は徐々に消えていきます。
けれど、自分が大事にしていることで気持ちが満たされなかった場合は、大人になってもずっと残ってしまうことがあります。特に多いのは、
親に対する思い。
「満たされなかった」という思いは最後まで強く残ります。
そのため、自分が子育てをする立場になった時、「親から愛されなかった記憶から、
わが子を溺愛する」ケースや「自分がつらかったから、
子どもを攻撃する」ケースなど、自分の代わりを子どもに求めてしまうことがあります。
では、イヤな記憶にとらわれてしまう人、そうでない人との違いはどこにあるのでしょう。それは「過去の記憶を認めているか、いないか」の違いです。自分自身の性格や、人間的に優れているか、劣っているかといったことは、あまり関係がありません。