イラスト:平松昭子
女性向けのマネー記事を約20年書いてきたライターの楢戸ひかるです。私が取材を通じて出会った多くの「実際に貯めた人」は、
クッション口座(※)という『機能』を上手に使っていました。今回は、そのクッション口座についてお伝えします。
※クッション口座とは、どこかの銀行にある、特定の口座ではありません。「特別支出」「プール金」など人によって呼称は違いますが、同じ「機能」を指して、私が命名しました。
■使うことを前提に貯めるお金とは
クッション口座を考えてみるとき、最初に、こんな疑問が沸くと思います。
「クッション口座」と「貯金」は、何が違うの?
その機能とは、簡単に言えば、「普段の家計費」と、「貯金」の間のクッションのような役割の口座です。
●クッション口座イメージ図
出典:楢戸ひかる「お金のリビング」テキストより抜粋
■「クッション口座」と「貯金」の違いとは?
「クッション口座」と「貯金」の違いは、クッション口座は、
「使うことを前提に貯めている」という点です。
生活をしていると、日々、突発的な出費があります。たとえば、冠婚葬祭。はたまた、「家電が壊れた」「ちょっと高めの洋服を買った」「虫歯の治療費がかかった」など…。生活をしていくことは、いわば「突発的な出費のオンパレード」。いちいち「あーあ、お金が出ていっちゃった」と、落ち込んでいては心が持ちません。
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こういった経済的な打撃!?を吸収してくれる「クッション口座」を作っておくことで、主婦は心穏やかに暮らすことができるようになるのです。
■経済的な打撃を吸収する口座の作り方
次の疑問は、コレでしょう。
「クッション口座」は、どうやって作るの?
「クッション口座」のお金は、
「毎月の積立」+「ボーナス時の積立」で作ります。クッション口座に必要なプール金は、各ご家庭によって違ってくるので、ここは主婦の腕の見せどころ! 「わが家のサイズ」を探ってみてください。参考までにわが家のクッション口座の作り方を書いておきます。
<楢戸家のクッション口座の作り方>
わが家の場合、毎月1万円、ボーナス時に18万円(※)を「クッション口座」に積立。
※ボーナス時の積立額の計算根拠は、(月額の赤字分3万円 × 半年分6ヶ月)で計算。
「一般的な家計は、月額3万円の赤字。それをボーナスで補填している」(夫の会社の社内報より)をもとに算出。
20年、主婦として家庭運営してみて「月額赤字3万円」は絶妙なラインと実感中(笑)
クッション口座にお金が一定額貯まったら、貯金口座に移行します。残念ながら、わが家は、クッション口座のお金を貯金に回す機会は、そうありません(汗)。だからこそ、本当に必要なお金は「先取り貯金」しておくのです。
■「突発的な出費」はいくら以上?
3番目のステップは、コレです。
何を「突発的な出費とするのか?」
わが家の場合は、食費と日用品のまとめ買い以外で3千円を超えたら、「突発的な出費」として計上すると、決めています。
出費の内容ではなく、「
金額で線引きをしておく」というのは、クッション口座を長続きさせるコツです。家計簿をつけるたび、「これは、クッション口座? それとも家計費?」と迷うエネルギーは、相当です。金額で線引きをすると、機械的に割り振れますから、心が疲れません。
■節約は「クッション口座」を意識することから
私は、「節約をするなら、クッション口座を意識することから始めてみませんか?」と、ご提案しています。たとえば1週間で食費を3000円抑えるのは、なかなか大変なものです。ましてや水光熱費を3000円安くするのは、毎日の努力が必要です。
一方で、同じ「3000円の節約」を、「服や雑貨の衝動買いを止めた」とか「食事を作るのが面倒という理由で外食に行かない」という部分でトライすると、意外と簡単にクリアできます。「ちょっと意識をして、踏みとどまる心」があれば可能だからです。
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■節約は「がんばる」ではなく、「ターゲットを絞る」
節約を思い立つと、「できるだけお金を使わない」といった
精神論でがんばりがちです。でも、これをやると、アッという間に苦しくなりませんでしたか?
それよりも、「ここは、がんばる!」という
「ターゲット」を絞った方が、結果的に楽なんです。節約で大切なことは、「続けること」。肩の力を抜いた節約の続け方として、クッション口座は使えます。意識するポイントを決める「だけ」だから、さほど疲れないのです。
<クッション口座の3ステップ>
●ステップ1:クッション口座とは、「普段の家計費」と、「貯金」の間のクッションのような役割の口座で、使うことを前提とした突発的な出費に使う。
●ステップ2:クッション口座は、「毎月の積立」+「ボーナス時の積立」で作る。
●ステップ3:最初にクッション口座を使うためのルールを自分で決める。
例えば3000円以上の出費はクッション口座を使うなど。
次回は、「家計簿に書くのはたったこれだけ。挫折しない「手抜き」家計簿」です。がんばらないから家計簿が続く「手抜き技」を2つご紹介します。
■楢戸ひかる プロフィール
HP
「主婦er」を通じて、「これからの主婦の在り方」を発信中。
吉祥寺の人気カフェで、マネーライター歴20年の経験を生かした「お金のワークショップ」を開催しています。
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