『未来のミライ』、育児のやりきれない感情がリアルなママに寄り添う物語
© 2018 スタジオ地図
7月20日公開の映画
『未来のミライ』は、妹が生まれ、家族からの愛情を奪われてしまった4歳の男の子が“お兄ちゃん”になるまでの冒険ストーリー。
子どもの成長に迫るとともに、親である私たちの心を「チクッ」と刺激する細田守監督最新作。リアルとファンタジーが共存した不思議な作品が伝えるのは、子どものいる両親、とくに“きょうだい”を持つパパ、ママは心の奥にズシッと響くメッセージです。
■ママの心をわしづかみするリアルな情景
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主人公は、4歳の男の子・
くんちゃん。これまで両親や祖父母からの愛情を一身に受けてきましたが、妹の
ミライちゃんが誕生したことで状況が一変。
この設定を聞いただけで、心当たりのあるママはキュッと胸が痛むのではないでしょうか。
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映画が始まるやいなや、時間に追われるバタバタ感や、おそるおそる育児をする夫など、子育て中のママには共感できるシーンがつぎつぎと目に飛び込みます。
そのリアルさはアイテム描写にも言えることで、定番の玩具や絵本がそのまま登場するため、アニメにもかかわらず、ドキュメンタリーを見ているのかと錯覚をおこすほど。
さらに、「ねぇねぇ、あそんで」「絵本読んで」と声をかけるくんちゃんに、「うん、うん」とパソコン作業をしながら空返事をするお父さん。妹をあやそうとして泣かせてしまったくんちゃんに「何してるの!」と声を荒らげるお母さん…もう、すべてが“あるある”すぎて、グチャグチャとしたやりきれない感情が込み上げます。
■あらためて思う「お兄ちゃんなんだから」の理不尽さ
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病院からお母さんが帰ってくるのを楽しみに待っていたくんちゃんは、初めて見る小さな妹に戸惑いながらも、得も言われぬ愛おしさを感じていました。
けれども、その感情は長く続きません。両親からの愛情を奪われる現実を知り、子どもながらに失望するのです。この状況も、まさに“きょうだいあるある”。「妹がほしい、弟がほしい」と、まるで新しい玩具をねだるようにせがんでいた子どもが、それを手に入れたことで思いもしなかった壁にぶつかることになるのです。
親である私たちは、妹や弟ができることで、第一子がより成長してくれることを望みがち。劇中でも、お母さんは「(ミライちゃんのことを)なにかあったら、守ってあげてね」と、くんちゃんにお兄ちゃんとしての自覚を持たせようとします。
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でも、4歳の子どもにとって、それはどれほど酷なことでしょう。
突然、目の前に自分より小さな妹がやってきても、急に“お兄ちゃん”にはなることなんてできません。
親は“きょうだい”に同じだけの愛情を注いでいるつもり。ですが幼い子どもにとっては“時間=愛情”で、多くの時間をミライちゃんに取られてしまえば、愛情をすべて奪われたと感じるのも至極当然かもしれません。