無関心になってない? 自分のすぐ近くに貧困の子どもがいるかも
©2018「こどもしょくどう」製作委員会
『火垂るの墓』で知られる日向寺太郎監督が手がけた最新作
『こどもしょくどう』は、子どもの貧困対策として近ごろ注目を集めている「子ども食堂」がテーマ。
といっても映画には子ども食堂そのものの描写はほぼありません。それよりもっと根本的な問題、
どうしていまの日本で子ども食堂が必要とされているのか、必要とする子どもたちはどんな思いなのかについて、子どもの視点から描かれています。
藤本哉汰さんや鈴木梨央さんなど子役の演技がすばらしく、うっかりすると子どもに感情移入しすぎてしまうのですが、時折発せられる子どもたちの鋭い一言に、大人としてこの問題に対して同情や共感だけで終わってはいけないことに気づかされる映画です。
■7人に1人の子どもが相対的な貧困状態にある日本
映画のタイトルでもある「子ども食堂」とは、家族と一緒に満足な食事をとることができない子どもたちのために、地域のボランティアなどが無料~数百円で食事を提供する取り組みのこと。
すでに全国に2000か所以上あります。運営形態はさまざまで、最近では大手コンビニも参入。地域の人ならだれでも参加できるところが多く、新たな地域コミュニティの場にもなっています。
映画に登場するユウト(藤本哉汰)は、食堂を営む両親と妹と健やかに暮らす小学5年生。幼馴染のタカシ(浅川連)は母親が
育児放棄で、家に帰っても一人ぼっち。ユウトの両親はタカシを心配して、頻繁に家に招いては夕食を食べさせていました。
ある日、ユウトとタカシは、河原で父親と
車中生活をしている姉妹、姉・ミチル(鈴木梨央)と妹・ヒカル(古川凛)に出会います。姉妹は幼稚園や小学校にも通っていません。
©2018「こどもしょくどう」製作委員会
…とこんな感じで大変な状況の子どもたちばかりが出てくるので、人によっては現実離れした設定に思えるかもしれませんが、実際はそうでもありません。
まもなく終わる平成は「失われた30年」ともいわれ、経済が停滞し、貧困や格差が広がったといわれます。日本の貧困についてはニュースでもよく報じられていますね。
具体的なデータを見ると、厚生労働省発表の「子どもの相対的貧困率」(2015年「国民生活基礎調査」)は13.9%にのぼり、なんと
7人に1人の子どもが相対的な貧困状態にあります。
貧困といっても、昔のように服装やニオイで明らかにわかることはほとんどなく、見た目は普通。周囲が気づくのが難しいため
「見えない貧困」という表現もよく使われます。