夫の言動や態度につらい思いをしたり、夫の自分への態度とそのほかの人への態度に大きな差(自分がひどく扱われている)を感じる…。最近、メディアや生活の中でも見聞きする機会が増えてきた
「モラルハラスメント」(略してモラハラ)。
「私は夫にモラハラを受けているのかも?」、「どうすれば平穏な毎日を送れる?」。そんな悩みについて、モラハラカウンセラーのJoeさんにお話を伺います。Joeさんは、書籍
『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』でモラハラを受けていても、その相手と離婚できない人のためにメソッドを紹介しています。
Joe(ジョー)さん
モラハラ対策カウンセラー。1976年、典型的なモラルハラスメントの関係にある家庭に生まれる。自身の経験から、モラハラをする人、被害を受ける人の心理を学び、モラハラで苦しむ人にアドバイスを始める。
現在は、ブログや講演会などでメソッドを伝えている。
ブログ:
離れられない『モラハラ』『身近な人からの攻撃』対処の超裏技!
■うちの夫はモラハラですか?
イラスト:鈴木し乃
モラハラの認知が広がってきているとはいえ、「自分がモラハラを受けている」ことに気付いていない人も実は多いのではないでしょうか。
【モラハラとは】
暴力ではなく、言葉や態度によって精神的に人を傷つけるハラスメントであり、「マインドコントロールを伴う支配」とも定義づけられ、夫婦や恋人関係はもちろん、職場でも起こるもの。
無視される、暴言を吐かれる、何をやっても自分が悪いと責められるなどの行為。
Joeさんによると、「程度はグラデーションのように濃淡があり、被害を受けている人が自分でモラハラに気付くのは難しい」といいます。
では「モラハラ」と判断するにはどうすればいいのでしょうか。Joeさんはモラハラ被害者の傾向として、「自分以外の誰かが不当な扱いをされていたら、それを『不条理だ』と判断できるのに、自分のこととなると、その判断ができなくなる」と言います。
そこで、Joeさんは簡単なチェック法を教えてくれました。
<「モラハラ夫」チェック法>
□「自分の友だちがその夫から、今の私とまったく同じ扱いをされていたら、どう感じるか?」
これによって「今のあなたが夫に対して、どのように反応するべきかの感覚がつかめる」と言います。
■モラハラをするタイプとは?
では、どんな人がモラハラをする体質を持っているのでしょうか。Joeさんによると、モラハラ体質の人には、
「攻撃欲の強いタイプ」と
「攻撃欲と支配欲が強いタイプ」があるといいます。
●攻撃欲の強いタイプ
単なる八つ当たり型。相手に対する嫉妬心や説明のつかない不快感、差別意識などによって、ただムカつくから攻撃するタイプ。相手を「有害」とみなし、自分を被害者に仕立てあげて攻撃する。
●攻撃欲が強く、なおかつ支配欲も強いタイプ
攻撃によって相手を支配下に置きたいから、攻撃してくるタイプ。「自分は誰かにずっと一緒にいてもらえるような存在ではない」と心のどこかで思っており、多くが自信、自己肯定感に乏しい人と言える。
さらに、Joeさんにモラハラ体質の人の行動パターンを具体的な例で教えてもらいました。
<モラハラ体質の行動パターン(例)>
□悪意のある冗談から始まり、日に日に態度が横柄になっていき、エスカレートしていく行為が止まる兆しがない
□その人の、妻に対する言動に「容赦のなさ」がある
□家の中での冷酷さと、家の外での外面の良さに、極端に差がある(外の人の目に映るときだけ、急に家庭的でやさしい夫を演じる)
□その人の価値観が、「強・弱・勝・負・得・損」だけで構成されている
など
イラスト:鈴木し乃
「モラハラ夫は最初から相手を攻撃するわけではなく、徐々にエスカレートしていき、
結婚後にその攻撃が本格化することも多いんです」(Joeさん)。
家庭を一緒に築くパートナーとして信頼し結婚した相手なのに、結婚後に豹変(ひょうへん)されたら…、途方に暮れてしまいそうです。