■本当の人生は、攻撃が終わってから始まる
さて、「Joeメソッド」を遂行し相手の攻撃が終わった場合、もうモラハラの心配はなくなるのでしょうか。
「即座にテンションを戻してはいけない」とJoe先生は警告します。「基本的にモラハラをする人は、モラハラできる状況であればします。攻撃されないためには、“その人が攻撃したくならないキャラ”として存在し続ける必要があります」。
また、多くのカウンセリングを行ってきたJoeさんによると、「攻撃のターゲットになる人には、ひとつの場所や人に依存する傾向がある」と言います。攻撃をなくすために始めたメソッドなのに、いざ相手と距離が離れていくと寂しく感じてしまうのだとか。
そこで、Joeさんが勧めるのが、夫には内緒でほかに
夢中になれるものやよりどころを見つけること。趣味でも仕事でもいい、それが見つかれば人生の目的や生きがいになると言います。
そして、モラハラ夫とある程度の距離感を保つ具体的なポイントとして、以下を挙げてくれました。
<モラハラ夫と距離感を保つポイント>
・趣味や友達を、夫と共有しない
・予定を報告しない
・夫はひとつ家にいる同居人と考える
・単独者として生きる意識を持つこと
・自分の趣味。自分だけのアジトを持つ
イラスト:鈴木し乃
Joeさんは
「本当の人生は、攻撃が終わってから始まる」と言います。ここがスタートラインであり、本当に大事なのはその先の人生をどう生きるか。
幸せは夫や他人が運んでくれるものではなく、自分でつかむもの。モラハラ夫がいたって、状況を変えることさえできれば、自分の望む幸せをつかむことができるのです。
■状況は自分でいつでも変えられる
最後にJoeさんに「このJoeメソッドを作ったときに心掛けたこと」を聞いてみると、「その人の余計な先入観や感情をどかして、客観的に状況を見てもらうこと」との答えが返ってきました。
モラハラを受けている人の大半は、「夫はそんな人じゃない」とか「自分のせいなんだ」と思ってしまうのだと言います。
だからこそ我慢してしまうし、努力して愛してもらおう、認めてもらおうと、自分をすり減らしてしまう。
「そんな自分を、本人が客観的に判断できていて、納得していればいいんです。でも、状況を捉え違えて損をしていたり、気付かずに搾取されていたり…。それは悔しいんですよね。
だから、『あなたの感情抜きで、こういうことになっていますよ』と状況を伝えてあげたい。僕のスタンスはそこだと思っているんです。共感して“大丈夫だよ”というカウンセラーもいます。もちろんそういったカウンセラーも大事だと思うけれど、僕の役割ではないと思っています」
もし今、「夫はモラハラかも…」と感じているならば、客観的な目で、自分たち夫婦のやり取りを振り返ってみてはいかがでしょうか?
モラハラだとあえて決める必要はありません。
生命などの危機がなければ、すぐに行動を開始しなくてもいいかもしれません。でも、つらくなったらいつでも自分の手で状況は変えられる。
それを知っただけでも、心が軽くなったのは筆者だけでしょうか? 夫との関係につらい思いを抱いている人たちが、そんなお守りのようなこのメソッドに出会えますように。
■今回お話をうかがったJoeさんの著書
『離れたくても離れられないあの人からの「攻撃」がなくなる本』
(Joe/SBクリエイティブ ¥1,430(税込))
モラルハラスメントを受け苦しんでいるけれど、“離れられない”または“離婚できない”人に向けて、自分の平和を取り戻すメソッドを紹介。シチュエーションに合わせた表情やしゃべり方、心の持ち方まで、具体的ですぐ実行できるメソッドが並ぶ。
Joe(ジョー)さん
モラハラ対策カウンセラー。1976年、典型的なモラルハラスメントの関係にある家庭に生まれる。自身の経験から、モラハラをする人、被害を受ける人の心理を学び、モラハラで苦しむ人にアドバイスを始める。
現在は、ブログや講演会などでメソッドを伝えている。
ブログ:
離れられない『モラハラ』『身近な人からの攻撃』対処の超裏技!
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