連載記事:ココロで読み解く「ママのお悩み相談室」
妻が傷つく夫の嫌味「いつも子どもと一緒でいいよな」イライラはどうかわす?【ココロで読み解く「ママのお悩み相談室」 第10回】
イラスト:中村こてつ
こんにちは、心理カウンセラーの佐藤栄子です。
これまで、子育てや夫婦関係、ママ友トラブルや自分のココロの在り方についてなど、さまざまなテーマを心理カウンセラーの立場で取り上げてまいりました。
そういった記事に寄せられた「もっと深掘りした内容が知りたい」「個々のケースで対応は変わるの?」といった皆様のお悩みにお答えする連載「ココロで読み解く『ママのお悩み相談室』」。
今回は、
「『専業主婦はいいよな』夫の言葉にイライラ…プチモラハラ夫、どうすれば?」という記事に寄せられたお悩みです。
記事では、「専業主婦っていいよな」という不用意なプチモラハラ発言に対してどう対処すればいいかについてご紹介しました。
しかし、記事のアドバイス通り
夫に対して笑顔を切り返しているものの、毎日のこととなるとつらくモヤモヤする妻からお悩みのご相談が寄せられました。
■質問:夫のプチモラハラに笑顔で切り返すのも限界に…
病気を機に退職し、専業主婦になってから
「『専業主婦はいいよな』夫の言葉にイライラ…プチモラハラ夫、どうすれば?」記事と全く同じ状況になり、ストレスで胃がおかしくなりました。
記事での先生からのアドバイスで少し気が楽になりましたが、笑顔で切り返してはいるものの、やはり毎日のように「ずっと子どもと一緒に家にいられていいよなー」と言われるとモヤモヤします…。
■回答:夫の嫌味の裏にある感情は「妻への甘え」
© takasu - stock.adobe.com
「ずっと子どもと一緒に家にいられていいよなー」と毎日のように言う夫。そう言われても、妻はどうリアクションすればいいのか困りますよね。病気をきっかけに退職なさったということですから、体調を整えるために専業主婦の道を選ばれたのだと思います。しかし、それでストレスがたまってしまうのでは元も子もありません。
アメリカの心理学者 アブラハム・マズローが提唱した「人間の欲求階層説」というものがあります。人間の欲求には以下のように5段階あり、1の低い階層の欲求が満たされると、2、3…と、高次の欲求に向かっていきます。
1.生理的欲求(生きたい)
2.安全の欲求(生命を安定維持したい
3.所属と愛の欲求(社会や仲間に受け入れられたい
4.承認の欲求(価値がある存在と認められたい)
5.自己実現の欲求(自分らしく生きたい)
出典:産業能率大学出版部 A.H.マズロー著 人間性の心理学 改訂新版)
日本のような社会が成熟している環境であれば、1と2は満たされていて当たり前なので、人々は3以上の欲求に目が向いているのが日常でした。しかし、今回の新型コロナウイルス流行は「2.安全の欲求」を脅かすものであり、多くの人が今まで経験したことのない精神的な不安を抱えているのではないかと思います。
もしかするとあなたの夫は、「仕事のため外出する=感染(生命)の危機にさらされる」という恐怖、心配を強く持ってしまったのかもしれません。
または、夫はもともと仕事や人間関係など外の世界に不安や不満を抱えていて、それが新型コロナウイルス流行への不安から顕在化してしまい、あなたへの嫌味という形に変えてはき出されている可能性もあります。
もし夫が、これまでは日常的にあなたに対して不満や攻撃的な感情を持っていなかったのであれば、この嫌味は「妻なら聞いてくれるはず」という甘えから生まれた、不安解消の八つ当たりかもしれません。