壊れていく母を子ども目線で描いた「母のうつ病闘病記」に読者からも体験談が届く
家族が心の病におかされ、幸せな日常が一変する様子を描いた笹川めめみさん作『母とうつと私』。壊れていく母親の姿を娘目線で描いた壮絶な内容は、読者から大きな反響を集めました。
小さなボタンのかけ違いから始まった母の異変。当たり前と思いがちな家族の幸せについてあらためて考えさせられる作品です。
■家族の運命を変えたあの日の記憶
このお話は冒頭から母親が暴れる衝撃的なシーンから始まります。
当時小学5年生だった作者のめめみさんは、いつも通り習い事を終えて、弟と帰宅。すると彼らの目に飛び込んできたのは、いつもとは違う、衝撃的な母の姿でした。
まるで悪魔に取り憑かれたように、おぞましい言葉を叫びながら暴れる母。めめみさんは恐ろしさを感じると同時に、すべてが失われていく絶望感に襲われます。
優しくて、いつも愛してくれる両親。お金にも不自由しない豊かな暮らし。
当たり前だと思っていた幸せが、ガラガラと音を立てて崩れていくのでした。
■誰も気づかなかった母のSOS
冒頭の事件を起こす以前から、すでに異常行動を繰り返していた母。異常に氷ばかりを食べる「氷食症」を発症し、その数は多い日には1日100個以上に及ぶこともあったそう。
「氷食症」は貧血やストレスが原因で起こるとされるもの。しかし母が最初出したSOSに家族の誰もが気づくことなく、症状はますます悪化の一途をたどるのでした。
氷食症を発症した母はその後、右肩の激痛で眠れなくなったり、手がこわばり自由に動かせなくなったり、さまざまな不調が一気に押し寄せます。
そこで友人に心療内科を紹介してもらい病院を受診するも…。処方された抗不安薬によって起き上がることさえままならないようになります。