ウーマンエキサイトをご覧のみなさん、こんにちは。tomekkoです。
活字離れが進んでいると言われる昨今ですが、子どもだけでなく大人の皆さん…読書していますか?
私は昔から本が大好きで歴史好きでもあるので純文学と呼ばれる近代小説は大好物です。
エッセイのような軽妙さや気楽さは無く、芸術性を追求した表現が多かったり、その時代のことを知らないと良さが感じにくい部分があって難しい部分もあるのですが…。
でも、だからこそ(私の拙い画力と文章ではありますが)、ちょっと視点を変えて紹介することで作家や作品に興味を持ってもらえたら…と思って書いてみることにしました。
教科書にのってる文豪ってひどい男が多くない?
ってことで『クズ男列伝!』スタートです!
ええ…作品は輝くばかりの芸術性、美しい文章に彩られているのに書いてる作者のクズエピソードのひどいこと…。
もちろん時代性を考慮すると仕方のないことはあるのですが、まぁ現代の感覚ではドン引き必至ですね。
(※クズなんて刺激的な言葉を使ってはいますがあくまでも人物像と恋愛遍歴は別物だし、作者の経験あってこその作品の創意性というのは大前提であることはご了承ください。)
では早速いってみましょう!今回紹介するのは近代の耽美・陰鬱私小説の大家、谷崎潤一郎先生です!
なぜこの方を一発目に持ってきたのか…実は私は谷崎作品が大好きだからです。
幼少期からどこか陰のある妖艶な美女や威勢よく啖呵を切る美人に惹かれていた私にはピッタリの理想的な女性たちが谷崎作品では描かれています。
…とそこに現れたのはいつもの歴史案内人、おこんさんたち。
ですが…?
なるほど…今回はちょっと子どもには刺激強め〜…というか説明しにくい〜…モゴモゴ…な内容が含まれることになりそうですな。
というわけでたぬ君に子守りを任せておこんさんと女ふたり旅と行きますか。
恋多き男…谷崎潤一郎の女性関係図
まずは、谷崎潤一郎をめぐる女性関係図を整理してみると…。
めっちゃくちゃ複雑なんですけど!?
3回結婚しているのは良いとしても、なんで同じ家の姉妹やら人妻やらと結婚したの…?
ですが、この時代には姉妹を娶るということはおかしいことではありませんでした。
ただ、例えば妻に先立たれたために身の回りの世話(当時の嫁への価値観がわかりますね)のため独身だったその妹をもらうとか、家同士の結婚という考え方の下では特に問題ではなかったのでしょう。
でもこの人の場合はちょっと事情が違うみたいなんですよ。
早くも
うーん、ひどい。
初さんに惹かれるのは分かります。私もこういう女性、好き。
でも初には旦那がいるから「仕方なく」「姉に似ているだろうと思って」妹の千代と結婚…。
平安時代のクズ男代表『源氏物語』の光源氏が若紫を拉致する理由に通ずるものがあって風情があると言えば…いや理解が難しい。(片想いの義母に所縁があって面影のある少女を自分好みに育てようという…現代の感覚だとあり得ない理由です)
しかしながら妹の千代さんはいなせで悪女味ある元芸者の初とは違い、家庭的で夫の言うことをよく聞く良妻賢母。
わがままで生活の一つ一つに強いこだわりのある夫に支える控えめな奥さんなんて、妻の鑑といった感じで羨ましい限りだと思うんですが、逆にそれが気に入らない谷崎先生は次々と“妻殺し“や“夫婦の不和“をテーマにした作品を量産してしまいます…!!
小説の中で千代をモデルにしていると思われる女性は常に「地味な縞」の着物を着ていると表現されているんですが、実際に残っている千代の着物を見ると慎ましい渋い色の紬や鮫小紋、縞が多くて、これまた切なくなってしまいます…。
千代さんは後に谷崎の親友でもある作家の佐藤春夫と(谷崎と離婚後)再婚するのですが…千代を譲る譲らないで揉めています。でも千代さんが最終的に佐藤春夫と落ち着いて良かった…と思ってしまいます。(自分は良妻賢母タイプでも無いのに勝手に千代に感情移入するのはやっぱ女性視点だからでしょうか…)