コミックエッセイ:夫婦・子育ていまむかし
美人で有能で残虐…中国史上唯一の女帝「武則天」は、なぜ最高権力者になれたのか【夫婦・子育ていまむかし Vol.29】
運命の出会いから
胸クソの残酷展開に…(怖)
しかし運命は太宗の死に際して転がり始めます。太宗の見舞いに来ていた皇太子の高宗と後宮でバッタリ…!!
なんと言っても武照は漆黒の髪に大きな切れ長の瞳、色白で薔薇色の頬に桃色の唇…そして、大きな胸の持ち主!異次元の美しさに青年高宗は一目惚れってわけ。
実はこの時から関係を持っていた…かどうかはわかりませんが、太宗の死後慣例に従い一応出家したことになった照(当時は尼になると額に焼印を押していたが、それをしてないんです〜なんか匂いますね〜)は尼寺にこもります。
そして不思議ととってもスムーズに1年後高宗の後宮に復帰するんですよ。あらまぁ。
高宗には皇后の王氏がいましたが蕭淑妃という寵妃がおり、このふたりが対立を極めていました。そこで皇后が、淑妃を追い出すために照を還俗させ引き出した、という説もあります。
が、ここから中国の歴史ドラマで見たことある残酷展開になります…。
(高宗は照にゾッコンとなり淑妃を退けた皇后でしたが、後々自分の行動をめちゃくちゃ後悔しただろうなぁ…)
子育て世代の読者も多い中ちょっとにわかに信じがたい話ですが、照に女の子が生まれると大事件が起きます。照が不在の時に皇后が赤ちゃんを見にやってきて、皇后が帰った後に見ると亡くなっていた!というのです…。
照は高宗に、皇后に赤ちゃんを殺されたと訴えます。高宗もそれを信じ、皇后、そしてなぜか淑妃も一緒に罪人として地下牢に閉じ込めました。歴史あるある、親族もみんな流罪です。
これ、お察しの通り(察したくないが)照の自作自演の可能性が高いようなのです。皇后が来ることを知って別室に身を隠した照が、皇后が帰ってすぐに自分の産んだ子を殺した…なんて…信じられないけど、その後の照の行動を知ると「いや、この人それぐらい平気でやるな…」と思ってしまうのがまた怖い話なのです。
照を庇うわけではありませんが、現代日本の感覚で読むと身震いするようなこと、中国の後宮では日常茶飯事だったんですよね。嫉妬と欲望が渦巻く後宮では、妃たちが日夜寵愛を得るため=自分の立場の安定と親族の権力保持のために、殺るか殺られるかの緊迫した生活をしていたんです。毒が使われることも多く、お茶も気軽に飲めないシーン、よく見ますよね、ドラマやアニメで…。
だから皇帝の寵愛を独り占めしていた照は、皇后から狙われるリスクが最も高い人でもあったんです。攻撃は最大の防御というべきか、ある意味わが子(女児だったから…?)を利用することで当時の敵を蹴散らすのに最大限の威力を発動したのです。
そんなわけで照は、高宗をそそのかして重臣たちの反対を押しきり皇后として立后します。皇后になると投獄しておいた王氏と淑妃を拷問して惨殺…というところからも残虐さを感じられますね…(震)。