教育費はいくらかかる? ホントに払える? 不安になったら…人気FPに教わる貯め方と「前向きになれる考え方」
3回の「貯めどき」っていつのこと?
続いてさきほど「四角形」で表した「毎月の支出」。この支出額は、子どもの年齢によって変動します。前野さんは、子どもの成長に連動する「貯めどき」を意識してコツコツと貯蓄を、とアドバイスします。
どの時期にどのような点を意識すれば良いのか、学校別に紹介します。
「教育費の不安にこたえる本」(日経BP)P25より
▼貯めどき(1)【幼稚園・保育園時代】
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現在、3〜5歳児クラスの保育園・幼稚園の利用料は完全無償化されています。きょうだいが同時に通う場合の保育料は2人目半額、3人目無料になり、さらに自治体によっては独自の給付をしているところもあります(バス代や給食費、行事費などは別途必要)。
保育園の場合は「3〜5歳の3年間、無償化で浮いた分を貯蓄に回す」、幼稚園の場合は「入園前0〜2歳の3年間に貯めておく」ことを前野さんは推奨しています。
また、この時期は「習い事費のかけすぎには気をつけましょう」と前野さんはアドバイスします。
「教育費の不安にこたえる本」(日経BP)P39より イラスト:エイイチ
習い事費用にひと月1万円前後をかけている家庭が約半数を占めています。また4万円以上かけている家庭も3割以上。しかし幼稚園の時期は「貯めどき」です。かけ過ぎは将来の教育費負担に影響しかねないので、長期的な目線で「うちは、これくらい」と決めましょう、と前野さんはアドバイスします。
▼貯めどき(2)【小学生時代】収入アップのチャンス!
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公立の小学校にかかる費用は月1万円弱。給食費や習い事を含めても月3万円前後。ただし、私立小学校となると公立の4.5倍以上、月14万円程度かかります。「この金額を6年間、払い続けられるかは、夫婦で確認して」と前野さん。
共働き家庭の場合、子どもが3歳になるまでは育児時短勤務制度が適用になりますが、その手厚さは会社によってさまざまです。小学校3年生まで、6年生までと延長する企業も増えていますが、「小学校入学まで」としている会社が多いようです。
ママが帰宅できるまでの学童保育や習い事に行くことになり、「小一の壁」と呼ばれる時期にはそれまでになかった費用がかかることがありますが、「長い人生の中での必要経費と割り切りましょう」と前野さん。小学校に入学後は、ママのフルタイム復帰やパート勤務の開始などで収入を増やしていける時期なので、この収入分をコツコツ貯めていくことを、前野さんはすすめています。
そしてもっとも注意したいのは、中学受験。小4〜小6まで有名塾にフルコースで通う場合なんと約300万円かかることも。塾代を「聖域」にせず、他のきょうだいのことも考えて、月々の塾代と臨時の講習費のバランスを考えるようにしましょう、と前野さんはアドバイスします。
▼【中学生時代】ひと月5万円がおおよその目安
続いて中学時代。公立に通う場合でも、教材やクラブ活動、学習塾などの学校外費用が小学校よりは増えるのが一般的です。子ども同士の付き合いにもお金がかかり始める時期ですよね。公立中学校は月約5万円、私立中学校は月約12万円がおおよその目安となるようです。
「ひと月5万円あれば、塾代も含めて子どもに十分な教育環境を用意できる」と前向きに考えてやりくりしていきましょう、と前野さんはアドバイスします。
▼【高校生時代】中学より支出は減る!?
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高校時代は「授業料の無償化制度」があり、公立高校は月約4万円、私立高校は月約9万円(無償化対象世帯なら月5万円)と、中学校よりも家計の支出が減る傾向があります。
しかし高校生の場合、公立受験の結果次第で私立に行くことになった場合のため、前野さんは、公立・私立の2パターンの「ざっくり費用感」をつかんでおくと良いとアドバイスしています。
▼貯めどき(3)【大学生時代】積立てた児童手当の出番!
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大学進学にかかる費用は、公立か私立か、学部や専攻、また仕送りの必要があるか、奨学金を利用するか等で大きく変わってきます。さらに留学や大学院進学をする場合など本書には詳しく説明されています。
大学生となると、子ども本人もアルバイトでやりくりする力も付くのに加え、前述の通り、児童手当をすべて積み立てていれば、国立大学の進学に必要な費用は準備できている試算になります。大学入学後は「老後資金(を準備する)のラストスパート」と前野さんはアドバイスします。
Point:「貯めどき」は3回ある! 計画的に貯蓄を進めよう