必死に節約しても「妻のお金は一円もない」ってどういうこと? 妻の人生を救うお金の知識をQ&Aで徹底紹介!
▼「パートタイムしかない」と思い込んでいませんか?
共働きが増えているイメージの昨今ですが、本書によるとフルタイムで働いている妻の割合は、じつは40年前との比較で5.4%しか増えていないそう。「扶養を外れると損」「家事と育児と両立するには、パートタイムしかない」と思い込んでいる人が少なくないことがわかります。
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そこで誤解しがちなのが『壁』という表現。井戸さんは「税金は、壁を超えた途端に重くのしかかるのではなく、超えた分の所得に応じて少しずつかかってくるもの」と説明。突然目の前にそびえ立つ「壁」のイメージは実態にそぐわず「これ(年収の壁)を意識して働き控えすることも意味がない」という鋭い指摘も。
▼壁をどれくらい超えれば得になる?
それに、扶養を外れて自分名義の社会保険に入っておくことのメリットもあり、「収入と手取りの逆転現象が起きるのは、壁を“ちょっと”超えた場合だけ」ということは心得ておく必要があるでしょう。また本書では、じつは最も意識すべきは「130万円の壁」と紹介されています。130万円は国民年金と国民健康保険についての扶養の壁。現状の制度では、扶養に入っていても年金額は変わらないため「壁を越えても特にいいことがありません」と井戸さん。
しかし、手取りと収入の逆転現象は、あるラインで正常化すると次のように説明されています。
●「106万円の壁」を超えても…125万円を超えれば、手取り収入アップ!(+社会保険の恩恵も!)
●「130万円の壁」を超えても…170万円を超えれば、手取り収入アップ!
●「130万円の壁」を超えても…170万円を超えれば、手取り収入アップ!
会社員や公務員の配偶者に扶養されている人の年金は「第3号被保険者」と呼ばれますが、世間的に風当たりが強くなっているのも事実。将来同じ制度が続くとは限りませんし、妻自身が働いて入る厚生年金は国民年金よりも手厚い保障があり、働けば働くほど年金額を増やすことも可能とのこと。
▼壁を気にせず働いた方がいい理由
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壁を超えて働くと、税金や保険料は増えながらも「世帯収入がプラスになる」という事実は見逃せないもの。たしかに悩みどころですが「将来的に働き続けそうならば、壁を気にせずに働いたほうがいいのではないか」と井戸さんは提言しています。
Point:「壁」を越えても、125万円・170万円のラインで手取りは回復する!
■「いったん育児に専念」で約1.7億円を失う!?
妻の仕事に大きく影響するのが「育児」との兼ね合い。「仕事か?育児か?」という葛藤にはそれ相当の覚悟が必要になってきますね。夫の理解や共感が得られないとなれば、なおさらです。
特に出産前後は体も生活も変化し、仕事を続ける不安も大きいもの。会社を辞めて出産や育児に専念し数年後に復帰するプランが頭をよぎる人もいると思います。
しかし井戸さんは「とりあえず、いったん会社を辞めよう」という考えは、その時点では気分を軽くしてくれるかもしれないが「長い目で見ると悪手」として、待ったをかけます。
▼職場復帰が益々厳しくなる理由とは?
なぜなら、テクノロジーが進化する時代に、6〜7年も休むことが死活問題になりかねないから。これからは益々「ブランクを経て仕事に戻る難しさ」に直面することが予想されます。
また、復職時に希望条件の再就職が難しく、やむをえずパートという働き方になった場合、正社員とパートでは、生涯年収の差は、なんと約1.7億円と試算されているそうです。
「年収の壁を超えてパートでどれだけ長時間働いていても、正社員の年収には及ばず、将来の年金額の差も大きい」と井戸さんはアドバイス。
▼公的支援を使ってスキルアップ!
もちろん出産後に副業や起業などで収入アップに成功する女性もいますが、具体的な計画がない限りは「できる限り会社を辞めない」ことが、ある程度の世帯年収を確保する最善策となるでしょう。また、資格取得などで選択肢を広げ、両立を目指す道もあります。スキルアップなどの公的支援制度は充実してきており「利用しない手はありません」と井戸さんも推奨しています。
Point:育児休暇制度や公的支援制度を利用して「辞めない」選択を!