2016年5月7日 21:00
映画監督園子温「人間の命って、陽炎みたいにおぼろげで、はかないもの」2/2【INTERVIEW】
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ワタリウム美術館(渋谷区神宮前)で7月10日まで開催中の「園子温展 ひそひそ星」では、映画本編では描ききれなかった思いを、異なる角度から空間作品へと発展させている。『ひそひそ星』の555枚にも及ぶ絵コンテのみならず、影絵によるプロジェクション作品、渋谷の忠犬ハチ公のオブジェを福島の被災地に置いたインスタレーションなど、その手法は多彩だ。映像、詩、小説、アート、音楽、パフォーマンスなど、ジャンルの垣根なく表現活動を行う園の目に、現代という時代、そこで暮らす人間像は、どのように映っているのだろう。■生の世界と死の世界は変わらないーー「園子温展 ひそひそ星」の影絵によるプロジェクション作品は、映画の最終シーンとも重なるのですが、映画とは違ったメタファーが含まれているのでしょうか?映画の方はセットですが、美術館で作品化する時に、障子紙というもののあり方を強調したいと思いました。あの世とこの世の橋渡し。そのふたつの世界が生命の糸でつながれている。しかし、どちらがこの世で、どちらがあの世なのかというのではなく、どっちも死後の世界であるという発想です。『ひそひそ星』のシナリオを書いた当時は、25年後に福島を舞台に、廃墟の町を撮影するなんて、想像もしなかった。