2017年2月12日 20:30
あけずば織「染織は、人と自然の共同作業」沖縄で上原美智子さんに会いに。--後編【ENcounter vol.3】
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自然が生み出した素材感に惹かれるという上原美智子さんは、超極細の絹糸を丁寧に織りあげる「あけずば織」で広く名を知られる作家。とんぼの羽のように薄く薄く織り上げられる「あけずば織」の創作を続ける中、上原さんの中にはある感覚が芽生えていったのだという。「自分の指先の感触をたよりに、繭から糸を引き出すうちに、絹は本当に蚕の恵みだと感じるようになった」と上原さん。自分で1本1本糸口を探して生糸を引き出すうちに、「ひょっとしたらこの生糸を撚糸することなく、蚕から吐き出されたままの細さで織ることが出来るんじゃないか」という思いが沸き上がってきたのだという。日々、織る糸を繭から引き出して、その糸を植物で染め上げていく。この暮らしを続ける中で、自然が生み出した素材そのものと向き合う感覚が研ぎすまされていったのだろう。
そして、自然の豊かな恵みを抽出して染め出す植物染料を扱うたびに、何色と言葉では語りきれない深い色合いに感嘆するという。「柿色をなんと呼ぼうと考えてみると、雨に濡れた煉瓦の色だなとか、夕焼けの色だなとか、必ず自然の中にある情景に繋がります。色彩感覚も美意識も、すべて自然の中にある。