2022年3月13日 13:42
人生の『走馬灯』 旅立つ日、母はどんな光景を見たのだろう
生きている私たちが体験していない『死』について、医学的、科学的に説明することには限界がありそうです。それでも、死に及んだときに自分たちに何が起きるのか、その後はどうなるのか。
これは生きている私たちの最も関心のあることだと思います。誰も体験したことのない死は哲学、宗教の中で語られ、それを受け入れるかどうかは人それぞれです。
そこで『物語』が必要になります。親しい人たちの旅立ちを見送ること。それは、ひとつの死の体験です。
7年前のクリスマスイブの朝、母が脳梗塞で倒れました。
病院に駆けつけ、意識のない母を見たとき、こんなシナリオになっていたのか……と呆然としました。
でも、しばらくすると母が光っているように見えてきたのです。
(最後まで生ききるのを見なさいね)
と言っているような。その姿は、愛そのものでした。これは私の心に浮かんできた『物語』です。本当に光っているように見えたのですから私にとっての『本当のこと』なのですが、こう思うことによって私は自分を納得させ、受け入れ、母の人生の物語を見守る心の準備をしたのです。
『物語』は妄想などではなく、挫けそうな心を守るための、心の作用なのです。