2022年7月10日 10:01
人生の学びのきっかけは、自分のすぐ近くにあるかもしれない
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
残しているもの、残ったもの
玄関のドアノブに古い鎖のリード。もう10年近くなるでしょうか。鎖のリードがずっとかかったままの家があります。
玄関ポーチでゆったりと寝ているゴールデン・レトリバーのロンロンの姿を見かけなくなったのがいつだったか。古い鎖のリードからするりと消えてしまったように、いなくなっていたのでした。
そして今でもそのリードだけが、ロンロンがそこにいたことを示しています。彼を知っている人たちだけが、玄関ポーチで道ゆく人を眺めていた姿をそこに思い出すことができるのです。
高齢の飼い主のご夫婦は、今もロンロンと共にいるのでしょう。
その家の隣には、いつもほがらかで、ちょっとユニークなおばさまが住んでいました。門を開けて、飼っているインコやウサギのケージを表に出し、玄関先にはたくさんの花々。