2022年9月11日 08:00
時にはゆっくりと歩みを緩めて、これまで見えていなかったことに目を向けてみる
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
時にはゆっくり歩いてみよう
ゆっくり歩くと、いつも見えていないものが目に入ってきます。散歩をするときも、考えごとをしているとただ歩くだけ、まわりをあまり見ていないものです。
季節が変わっていくのを感じるのは気温だけではない、街路樹やご近所の庭に咲く木や花の様子、空の色、雲の形……すべて自然からのメッセージです。
8月の終わり、青森県の奥入瀬渓流を歩きました。憧れの奥入瀬渓流、8月初めの大雨の影響で渓流の水は少し濁っていましたが、川の流れの音や森の豊かな木々は混沌とした日常を忘れさせてくれました。
ゆっくり歩くと見えてくる……いろいろな苔の形、ふわりとした手触り。風で葉が揺れると、小さな水滴が転がり落ちる。
ブナのしっとりとした木の肌。