2022年10月16日 10:00
忘れてもいいことは忘れていく 忘れることは、自分を楽にしてくれることもあるかもしれない
吉元由美の『ひと・もの・こと』
作詞家でもあり、エッセイストでもある吉元由美さんが、日常に関わる『ひと・もの・こと』を徒然なるままに連載。
たまたま出会った人のちょっとした言動から親友のエピソード、取材などの途中で出会った気になる物から愛用品、そして日常話から気になる時事ニュースなど…さまざまな『ひと・もの・こと』に関するトピックを吉元流でお届けします。
遠い記憶を手のひらで転がして
人は、忘れてもいいことは忘れてしまうのでしょうか。
もしも脳の中にフィルターがあり、本当に必要な記憶だけを抽出するというのなら、そういうものかと思えるのですが、どうもいろいろと忘れてしまっているような気がしてなりません。
手にとるように覚えていたことも、いつの間にか指の間から滑り落ちてしまった感じです。
旅に出るときには、必ず日記をつけます。旅の記録、そして思ったことを徒然なるままに、自動書記をするように。
先日、30年くらい前にパリに行ったときの日記が出てきました。たいてい一人で旅をしていたので、日記は話し相手でもあるのです。
旅日記を読み返しながら、パリの石畳の道を歩いているような気がしてきます。